POPs条約解説:条約、法規いっちょかみ(その1)

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「条約、法規いっちょかみ」シリーズの実質1回目です。前回のAgenda21 第19章解説:新シリーズ 条約、法規いっちょかみ(その0)は、イントロのようなものです。

なので、本記事からが本編?みたいなものです。

今回は、条約でPOPs条約です

POPs条約については、実は過去に何回も記事に出てきています。

一番詳しく書かれているのは、製品化学物質の情報伝達について(その7)特別版です。この記事には、結構いろいろ書いていますので、本記事と共に参考にご覧にただければと思います。

POPs条約とは何か

POPs条約は、正式には日本語では「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」、英語では、Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutantsとなります。
赤文字のところをとって、日本では通称POPs条約と言われます。

この条約は、2001年5月22日に採択され、2004年5月17日に発効しています。日本は、もちろんこの条約を受諾しています。
結構新しい条約ですよね。今年は、POPs条約が採択されてから20年目ということになります。

POPs条約の発効に至った経緯などは、各省のPOPs条約のページなどで見ることができます。
経済産業省のPOPs条約のページ
環境省のPOPs条約のページ
外務省のPOPs条約のページ
とまあ、関係省庁縦割りはいつものことです。

オリジナルのPOPs条約のページ

この条約は、環境中の残留性や生物蓄積性、人や生物への毒性が高い物質である指定物質の製造・使用・輸出入の禁止または制限をするものです。
この性質を持つ有名な物質としてはPCBがあります。何せいろんな動物中での分析もされていすし、生物濃縮の点でも測定、研究が行われています。

締約国会議(COP)と残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)

POPs条約の締約国会議(COP)は、2007年以降は2年に1回開催されています。ここには、各国の代表が一堂に会して議論したり規制の決定をしたりすることになります。日本からは、国の代表としてだれか選出されていくことになります。もちろん、バックアップのお役所の方々も一緒です。

締約国会議(COP)で、実際の規制内容などは決まるわけですが、一方、その前に物質の提案だったり、技術的な検討を加える場として、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC(the Persistent Organic Pollutants Review Committee))が、毎年開かれます。

このPOPRCでの検討結果により、条約への物質の追加勧告が行われます。ですので、締約国会議(COP)は、もちろん重要ですが、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)での結果を知ることは、今後の規制を見ていくうえで非常に重要です。

日本でようやく化審法第一種特定化学物質に加えられたPFOA又はその塩は、2018年に行われた第14回残留性有機汚染物質検討委員会POPRC14で、条約上の廃絶対象物質(附属書 A)への追加を締約国会議に勧告すること
が決定されています。

一番直近のPOPRC16は、コロナの影響もあり2021年1月にオンラインで行われましたが、経済産業省のHPには

デクロランプラス並びにその syn-異性体及び anti-異性体について、更なる情報収集を行い、引き続き検討することが決定されました。また、メトキシクロルについては、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。さらに、新たに提案された UV-328 については、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

とありますので、これらの物質については要注意ですね。管理人は、これらの物質については、あんまり知りません。

こうして、新たな物質がPOPs条約で附属書Aの廃絶や附属書Bの制限加えられると、日本では対応する国内法である化審法へどう落とし込むかの審議が始まり、最終的にはこれらの物質は、第一種特定化学物質に指定されます。

この辺のことは、以前の製品化学物質の情報伝達について(その7)特別版に書きました。

何と管理人、POPRCに行ったことがある!!

実は、管理人なんとPOPRCに1回だけ行ったことがあります。行ったのは、2008年10月に開かれたPOPRC4で、その時に話題になっていた物質は、PFOSや臭素系難燃剤です。

いやー、スイスなんてトランジットで使ったくらいで、その時まで行ったことがありませんでした。

過去の資料を見てみると約1週間行っていたみたいです。そこには、国の代表の人たちだけではなく、研究機関、NGOなどの関係者も来てプレゼンテーションや議論が行われます。もちろん、正式な会議では代表の人しか発言できないのですが、聞くことはでき、このように周辺での打ち合わせやらネゴシエーションがあるんですね。しかも朝から晩まで。我々も、プレゼンテーションの時間をもらい、発表しました。

しかし、関係する物質に関する議論は無い日もあるため、その日はお出かけしたりしてましたね。一応、当時撮った写真を載せておきますね。

翌年の締約国会議(COP)にも行く予定をしていたのですが、鳥インフルの事件があり行くことはできませんでした。しかし、何かあったら大変ということでGWにもかかわらず、時差の関係上、真夜中くらいからPCにへばりついて、メールをチェックするというひどいことをやらざるを得なかったのを覚えています。時々、寝落ちしてました(^^;。結局、その年のGWは何もできませんでした。

いっちょかみなんでこんなもんです

今回は、第1回なので、管理人も多少関係したこともあるPOPs条約の説明でした。

このシリーズは、いっちょかみと名付けているのは、このくらいの文字数で何とかしたいと思っているからです。条約や規制は、詳しく書こうと思うとそれぞれ本ができると思いますし、各規制の専門家がいらっしゃいます。

詳しい内容が必要な方は、専門書やHPを探して読んでいただくのが一番かと思います。このシリーズは、そういうとっかかりや、どういう主旨で規制や条約があって最低限必要な情報だけ書くことになります。

コメント

  1. こーし より:

    期待してます(/ω\)!

    • OFFICE KS より:

      こーし様、コメントありがとうございます。管理人です。

      いやあ、あんまり期待されても、、、(^^;。

  2. みどりかわ より:

    初めて問い合わせをします。私は品質保証課にて顧客からの化学物質に関する調査依頼に対応をしています。最近のSVHCリストが更新されるたびに貴サイトを参考にさせていただき、大変助かりました。

    『質問』最近複数の顧客より「スイスの化学品リスク低減令(2022年3月10日付、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)及びその前駆体化合物に関するもの)」に関する依頼を受けているのですが、大本のスイス政府の官報などが見つけられません。どこにアクセスすれば良いかご存じであれば教えてください。

    • OFFICE KS より:

      みどりかわ様、ご質問、ありがとうございます。管理人です。昨日まで旅行に行っていたので返事がおくれました。
      本名や会社名など個人情報がありましたので、その部分は、ぼかして承認させていただいております。

      さてご質問の「スイスの化学品リスク低減令(2022年3月10日付、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)及びその前駆体化合物に関するもの)」というのは、管理人もよくわかりませんでした。
      ただ、スイスのサイト、https://www.fedlex.admin.ch/en/cc/internal-law/81に行っていただき、search in all collectionsの検索窓にDangerous Substancesを入れて出てきた結果でさらにPFHxSで検索をかけると1文書だけが出てきましたのでこれではないかと推定してます。

      他の確認方法としては、EnviXさんから有料で情報を買うなどが考えられます。

      ですが、一番簡単なのは、聞いてきたメーカーに「これ何処のどの文書ですか?教えてください、見つけられないもんで」と聞いちゃうことだと思います。
      別に恥ずかしいことでもなんでもありません。正しく答えたいのでお願いしますと言えばよいだけのことです。管理人のお勧めはこれです。

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