条約、法規いっちょかみ(その7)化管法

「条約、法規いっちょかみ」シリーズの7回目です。

今回は、日本の法律、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(長いよorz)、いわゆる化管法(以下化管法と書きます)のお話です。

日本の法律なので、サクっと終わらせてしまいます。なんせ、いっちょかみですから。

化管法の目的は、事業者の化学物質の自主管理改善の推進

化管法の目的が書かれている第一条は、以下のように記述されています。

第一条 
この法律は、環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。

ものすごく前振りが長いのですが、

事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進
環境の保全上の支障を未然に防止

が目的になっていることがわかります。

PRTRとSDSが化管法の柱

化管法については、経済産業省が化管法のページを作成していますので、そこを見ていけばほとんどすべてのことがわかります。以上!、で終わるわけにもいかないのでちょっとだけ解説です。

化管法のページ の最初に化管法は、PRTR制度とSDS制度を柱として、という表現があるように、この二つを理解することが必要です。

SDSは、今までに最近では、「製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その19)」やそれ以前にも「GHSとSDS」や「化学物質の情報入手に有用なサイト(その1:職場のあんぜんサイト 厚生労働省)」で結構解説していますので、そちらをご覧ください。

もう一方の制度であるPRTRは、今までこのブログでは解説していないに等しいと思います。

PRTRはPollutant Release and Transfer Registerの略で、日本語では化学物質排出移動量届出制度などと訳されます。

ようは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質(第一種指定化学物質と言われます)が、事業所から環境(大気、水、土壌)へ排出される量及び廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に届け出をし、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する制度です。

ですので、国民は、これらの化学物質がどこの事業所で使われ、何処へ排出され、事業所外にはどの程度移動するのかを知ることができます。

ということは、事業所の近隣の人なんかも、あそこではあんなヤバい物質を結構排出してる、とかわかってしまうわけですね。

すると当然、そんな化学物質はなるべく最小限の使用量で抑えようという力が働くことになります。これは、とりもなおさず、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進ということになります。

PRTR制度は、ある特定の事業者(業種等もありますし、事業所の人数の裾切りなどもあります)が、年度ごとに第一種指定化学物質の移動排出量を国に届けることから始まります。

届けられた値と、他の事業者が届けることができないものの排出移動量の値は、国が計算し集計して年度ごとに公表されます。

例年、前年度の事業所ごとの移動排出量の届出は、6月末までとなっているはずです。

政令改正で把握しなければならない化学物質が変化

化管法の政令改正:ごくたまには事業所の化学物質管理」で記事にしたように、PRTR制度の届出対象になっている物質は、2023年(令和五年)から変更されます。

PRTR制度の対象となる、 第一種指定化学物質 は462物質 → 515物質に種類が増えるのですが、従来対象であったものが対象外や第二種指定化学物質(PRTR制度の対象外)に移るものが142物質もあるので、新たに対象となる物質が、結構たくさんあることがわかります。詳しくは経済産業省の 化管法のページ をご覧ください。

実際に新しい化学物質で届出が始まるのは、2024年に(令和六年)2023年度分を届けるところからになります。

排出移動量ってどこへの排出や移動をいうのか

普通の人は、排出量とか移動量って言われてもどこへの排出や移動なんだと思われるかもしれません。大体、排出量と移動量ってどこが違うのかと思うかもしれません。

排出量は、

  • 大気への排出量
  • 公共用水域への排出量
  • 土壌への排出量
  • 埋立処分量

を言います。

移動量は、

  • 下水道への移動量
  • 事業所外への廃棄物としての移動量

を言います。

これらを事業所ごと、化学物質ごと、排出移動先ごとに集計しなければなりません。結構大変ですね。実測できない場合、計算で算出する方法も取られます(実際にはこっちの方が多いと思う)が、やり方は決まっています。

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