製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その4)

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どうも管理人です。

今回は、製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その4)です。
いやね、前回の製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その3)で本当にこのシリーズいるのか?だったのでアンケートを取ってみました。

その結果を見ること、40件以上の回答が寄せられ、ほぼ半分の答えが、「役に立っているので続けてくれなきゃいやだ!」だったんですよね。管理人、びっくりです。新規解答として「初心者じゃないけど復習にとっても役立つので続けて!」というのが作られ、それは、1/4くらいの方が選択していました。

なので、もうちょっとはやろうと思います。でも何やればいいんだろうな、リクエストがある人はコメントしてね(超初級なので決して、難しいことの解説を依頼しないこと)。

閾値とは何か

さて今回は、まずは閾値とは何かというお話です。えっ?いくらなんでもそのくらいわかってる。まあ、いろんな業界で普通使いますものね。閾値(いきち、もしくはしきいち)は、何らかの境目になる値のことです。英語では、thresholdです。

製品含有化学物質担当になった人にとっては、閾値はその規制に書かれている制限を受ける濃度の境界を表すのが一般的です。

ですので、「この材料に入っている鉛の含有率は、RoHS指令の閾値を超えているの受け入れられない。」などというように使います。

RoHS指令における鉛の規制値は0.1wt%ですので、上の文例ではこの値を閾値と呼んでいるわけです。

ですが、RoHS指令の法文には、thresholdという用語は出てきません。制限される物質とその含有率が書かれている付属書 IIには、以下のように書かれています。

Restricted substances referred to in Article 4(1) and maximum concentration values tolerated by weight in homogeneous materials

訳すと「第4条(1)で言われている制限物質および均質材料中の許容される最大質量濃度値」こんなとこかな。

それで、この文の下に、以下のように物質名と値が並んでいます。
Lead (0,1 %)
Mercury (0,1 %)
Cadmium (0,01 %)
Hexavalent chromium (0,1 %)
Polybrominated biphenyls (PBB) (0,1 %)
Polybrominated diphenyl ethers (PBDE) (0,1 %)

何ですかこれはという閾値

上のRoHSの許容最大濃度は、0.1wt%とか0.01wt%なので、まだわからなくはありません。しかし、例えばREACHの制限物質でEntry50のPAHの場合、閾値は1mg/kg(0.0001wt%)つまり1ppmだったり、0.5mg/kg(0.00005wt%)だったりするものが存在します。もちろん、これらは発がん性物質であるため少量(低濃度)でもリスクが高いからでしょう。

REACH 制限物質(その19):Entry50 SVHC多めを参照してください。

でも、「こんなもんどうやって測れというんじゃ!」と思わず言いたくなりますが、二重 LC 浄化と GC/MS 分析を使用した手順などどと分析手法まで書いてあります。こんな分析一体お値段いくらかかるんでしょう。

こんなもん、単純に入れるなと言っているのと同じだと思います。ただ、厄介なのはPAHの場合、何か反応してできてしまう非意図的生成物だということです。

こういった数字の濃度規制がかかっているということは、「入れるな」に等しいものだと思わなければなりません。

閾値の取り扱い

こういう値や文が示されると、例えば、RoHSの鉛であれば、0.1wt%までは許容されるのねと考えるのが普通かもしれません。

そして、「0.1wt%丁度だったらこれは、規制に違反するのかそうじゃないのか?」といったことを議論する人たちが出てきます。

管理人は「そういう議論は、時間の無駄だから即刻辞めなさい。」と言いたいと思います。

もし、あなたが例えばRoHS指令に対応するべき品物を製造していて、0.097wt%の鉛が含まれているという成形品のデータをもらって、何もしないということはありますか?
工程変動や分析の誤差を考えた時に0.1wt%を絶対超えないという確証があればそれでもいいですが、その保証は誰がしてくれるんですか?

ですので、上の議論は最後に法廷闘争や賠償問題に発展するような場合にすればいいので、普段は、いかに鉛が混入しないように管理するかに力を注ぐべきだと思うわけです。

おっと、思わず化学ではなくて製品化学物質管理の話になってしまいました。

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コメント

  1. こーし より:

    あ、なるほど入れるなって考えればいいのか…
    はなから使わないように要求すれば簡単ってことですね

    • OFFICE KS より:

      こーし様、管理人です。コメントありがとうございます。
      考え方としては、「最初から使わないようにしてね」とお願いすることは、間違いではありません。
      しかしながら、化学の世界では、それだけでは済まない部分も存在します。
      超初級化学講座に書くべき項目のヒントを頂きました。ありがとうございます。
      今後とも、当ブログをよろしくお願いします。

  2. 通りすがり より:

    いつも参考にさせて頂いています。
    閾値に関連して、最初のころはwt%の分母を何にするのか?で悩んでました。
    特にREACH規則では分母の扱いが、何度か変わって来ていて、昔は製品重量と思っていたら
    今は部品単位と小さくなってきて、SVHCの濃度がどんどん上がるので困ります(苦笑

    • OFFICE KS より:

      通りすがり様、いつもコメントありがとうございます。励みになります、管理人です。
      REACHの分母の問題は、ある意味変更されてしまった感がぬぐえませんでしたね。
      おかげで、業界はかなり混乱した記憶があります。
      後だしじゃんけんは、やめてほしいと当時思った管理人でした。

  3. ななし より:

    いつも更新ありがとうございます。
    参考にさせていただいています。

    超が取れたくらいの初級者ですが、最初のころはwt%やppmという単位が何なのか、均質材料における含有濃度はどうやって求めるか、とわからないことだらけでした。

    今もまだ理解が怪しいのが、「保証書」と「報告書」のニュアンスの違いですね。メーカーによっては「適合宣言書」だったり形は様々ですが・・・。
    初級者にとっては入ってないことが分かれば一緒じゃない?って思ってました。

    • OFFICE KS より:

      ななし様、コメントありがとうございます、励みになります。管理人です。
      保証書と報告書または適合宣言書などの文書ですね。まあ、会社によってどう意味を持たせてるかは違うのかもしれませんね。
      管理人もあんまりよくわかりません(^^;。
      当ブログでも、検索窓にグリーン調達と入れていただくと関連するような記事がヒットすると思うので参考にしてください。
      以前はグリーン調達基準の読み方みたいなシリーズの記事も書いてます。

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