製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その14)

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どうも管理人です。製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座の14回目です。今回は、物質、混合物、成形品、材料についてです。

以前このブログで書いたかどうか忘れてしまったのですが、このような用語は規制によって定義が異なります。

今回は、REACH規則における定義で見てみましょう。

REACH規則では、2章の3条に定義が書かれています。

日本語訳で書いてありますが、管理人が翻訳ソフト等を使用して訳してますので、正しくは原文を参照してください。

物質(substance)

物質(substance)は、通常化学物質を意味しますが、REACHでの定義では次のようになっています。

自然状態の化学元素およびその化合物、またはあらゆる製造プロセスによって得られるもので、その安定性を維持するために必要な添加剤および使用されたプロセスに由来する不純物を含むが、物質の安定性に影響を与えず、またはその組成を変えずに分離することができる溶剤を含まない。

何だこれはと思ってしまいますが、読んで理解をすれば、まあそうなんだろうなと思えます。例えば、「 安定性を維持するために必要な添加剤および使用されたプロセスに由来する不純物を含む 」と言われれば、工業的には通常抜きようがないなと思います。

では、比較として日本における化学物質管理の基本的な法である化審法における「化学物質」の定義はどうなっているでしょう。

化審法では第一章 総則のところに(定義等)の項目が第二条から書かれています。

第二条 この法律において「化学物質」とは、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物(放射性物質及び次に掲げる物を除く。)をいう。
一 毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第三項に規定する特定毒物
二 覚醒剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第二条第一項に規定する覚醒剤及び同条第五項に規定する覚醒剤原料
三 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬

このように、化審法の化学物質はいろいろと例外のある書き方になっています。

一方、REACH規則は、定義より前の2条に適用の部分に適用しないものが書かれています。例えば放射性物質や取り出せない中間体には適用しないとかいうことが書いてあります。

このように、法によって定義や適用範囲が違うので注意が必要です。

混合物(mixture)

混合物はREACH規則では以下のように定義されています。

2つ以上の物質からなる混合物または溶液を意味する。

まあ、そうでしょうねという定義です。

成形品(article)

成形品はREACH規則では以下のように定義されています。

製造時に、その化学組成よりも特別な形状や表面もしくはデザインがその機能を大きく決めるように与えられた物体を意味する。

いや、わかりにくいわ、と思う方がいるかもしれません。

簡単な例でいうと、食料を切る包丁は、鉄もあるし、セラミックもあるし、ステンレスもあるしということで、細かいことはいろいろあるだろうけど化学組成より形やデザインで食料を切ると機能が与えられたものだよね、ということになります。

材料(material)

実は、REACH規則には材料の定義は書いてありません。

材料(material)の定義って結構難しいと思います。例えば、英語のWikiでmaterialを見てみると、

A material is a substance or mixture of substances that constitutes an object.

と書かれています。

日本のWikiでは、原料と材料との違いという項目で、

原料は通常、物(製品など)が完成したときに原型をとどめていない物のことを指す。すなわち、化学的加工により製品になるものは原料、物理的加工により製品になるものを材料と分類する事ができる。

とあります。

むむっ、真剣に考えると曖昧性のある言葉ですね。

ですが今回materialを問題にするのは、RoHS指令においてhomogeneous material(均質材料)が定義されているからです。

均質材料 (homogeneous material)

均質材料 (homogeneous material)という言葉は、RoHS指令の中でしか使用されていないと思います。RoHS指令でも用語の定義は3条に書かれています。

RoHS指令での均質材料は、以下のように定義されています。

全体的に均一な組成の1つの材料、または複数の材料の組み合わせで構成され、ねじ外し、切断、粉砕、研削、研磨処理などの機械的作用によって、異なる材料に分離または分別できない材料を意味します。

RoHS指令は、制限物質にこの均質材料単位での閾値があてはめられているために、条件を満たしているのか確認するのが面倒くさいことになります。

コメント

  1. 悩める羊より より:

    管理人さん
    いつもありがとうございます。

    製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座
    これ好きです。

    私が化学物質担当になったのが3年前。まだまだ何もわからないので、
    こういう超初級の講座はありがたいです。
    改めて思ったのは、用語の曖昧さ、解釈の難しさですね。
    ハッキリできない(させない?)のがいい所なんでしょうか?
    chemSHERPAでもアーティクルの単位にいつも??となります。

    用語の説明、1つ1つ例などあげてご説明頂けると更にありがたいです。

    • OFFICE KS より:

      悩める羊より様、管理人です。
      コメントありがとうございます。励みになります。最近少なくて寂しかったんだよね。
      さて、例をあげてくれとのこと、記事を見たらああ確かにと思ってしまいました(^^;。

      混合物の例は、インクとか接着剤とかグリースやはんだなんかもそうですね。
      均質材料は、図ででも説明しないと分かりにくいかもしれないので、今回は勘弁して。

      用語は、法に書かれているのはなるべく曖昧性を排除するように書かれていると思っています。
      一般的に使っている用語のほうが定義はあいまいだと思います。だからこそ工業標準とかが作られてるわけですし。

      実務をやられている方は大変だと思いますが頑張ってください。

      • 悩める羊より より:

        ありがとうございます。
        確かに標準書が必要になる理由がありますよね。
        手探りで進んでいっている事が多いですが、
        このようなわかりやすいブログは本当に助かります。
        これからもよろしくお願いします。

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