製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その12)

どうも管理人です。製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座の12回目です。今回は、有機溶剤についてのお話です。

有機溶剤も色々な種類はあると思うので、代表的なものだけにしておきますね。

有機溶剤とは何か

有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称というのが、一般的な考え方だと思います。

このため、その物質が持つ化学的な性質や構造で分類するのが普通だと思います。しかしながら、有機溶剤は、沸点が低く、気体になりやすく、呼吸や皮膚から体内に取り込まれてしまいます。有害性が高い化合物も多いので、日本では労働安全衛生法で規制されているものがあります。

 一つは、有機溶剤中毒予防規則(有機則)と言われるものです。この規制の資料・パンフレットは、厚生労働省の有機溶剤を正しく使いましょうのページからDLできます。
現在、有機則で規制されている溶剤は54種類でありそのリストや溶剤濃度は5wt%以上が対象ですよとかいろいろなことが書かれています。

もう一つは、特定化学物質リスト(特化則)です。こちらは、有機溶剤だけが規制されているわけではありませんが、有機溶剤も含まれています。特化則で規制される物質は、正しく扱わないと健康障害を引き起こす物質です。

こちらの規制は結構わかりにくいですが、「特化則とは わかりやすく」みたいな検索語でググってください。危険性の高いものから、第1類から第3類までに分かれています。有機溶剤は第2類に多いです。

有機溶剤の種類

有機溶剤はたくさんの種類がありますが、溶剤というだけあって、常温で液体のものが大部分だと思います。というか、この記事ではそれしか扱いません。

CとHだけからなる有機溶剤

物質としての構成元素に炭素と水素しか含まない化合物の溶剤も当然あります。

一つは、脂肪族炭化水素系のものですね。よく聞く名前にノルマルヘキサン(C6H14)があります。

もう一つは、芳香族炭化水素系のものです。トルエンとかキシレンとかですね。

どちらの溶剤も、極性がほとんどありません。油をよく溶かしますし、変な反応をあまり引き起こさない溶剤ですかね。

CとHとOからなる有機溶剤

構成元素として、炭素と水素だけでなく、酸素を含んだ化合物の溶剤はになると、色々な性質をもつものが出てきます。

アルコール類

代表的な有機溶剤の一つとしてアルコール類があります。有名なところでは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどです。
以上のものは、OH基が一つだけのものを挙げましたが、OH基が二つ以上ついている溶剤も存在します。プロピレングリコールなどです。

極性の強いOH基を持つので、分子量の低いものやOH基が沢山ついているものは水と混じります。水溶性のものの汚れは良く落ちるようです。低分子のアルコール(はっきり言えばエタノール)は、殺菌力、揮発性も高いので、最近はコロナ対応で需要が増えているんじゃないでしょうか。

フェノール類

もう一つ同じOH基があるものに、フェノール類があります。フェノールとかクレゾールがありますが、有機溶剤というより、消毒によく使う印象ですね。

ケトン類

ケトン類は、カルボニル基を持つ化合物の総称ですが、分子量の比較的小さいものは常温で液体のため有機溶媒として使われます。代表的なものとしてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどがあります。アセトンは水と混ざりますが、分子量が大きくなると水には溶けにくくなります。

炭化水素とは良く混ざりますし、樹脂も比較的溶けるものがあります。

エーテル類

エーテルは、R-O-R’の構造を持つ化合物の総称ですが、ジエチルエーテルに代表されるように、有機溶剤として使われるものがあります。
そういえば、昔、高分子の分子量測るのにGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用したことがありますが、溶媒は環状のエーテルのTHF(テトラヒドロフラン)だったなあ。

ということで、一部の樹脂は、エーテル類によく溶けます。

エステル類

エステル結合をもつ化合物も有機溶剤として使われます。カルボン酸エステルの場合が、C,H,Oを含む化合物になります。

もっとも有名なのは酢酸エチル、通称、酢エチでしょう。エステル類は一般に果実臭がしますし、実際に果実にも入っています

エステル結合

接着剤や樹脂の溶剤として良く使用されます。

CとHとNからなる溶剤

CとHとNからなる溶剤は、普段使うものは多くはない感じがします(管理人の個人的感想です)。

有名なのは、アセトニトリル(CH3CN)です。水と混和し極性のある多くの有機溶剤とも混和します。

C,H,OとNが含まれる有機溶剤

アミド類

アミド結合をもつ化合物も有機溶剤として使われます。

アミド結合

有名な溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、通称DMFがあります。

塩素系有機溶剤

丁度最近書いている、記事REACH 制限物質(その29):Entry38から、まだ書いていませんが、Entry32までは塩素系有機溶剤になっています。

塩素系有機溶剤は、その性質が不燃性であるために、脱脂用の洗浄剤として良く使用されていました。ただ、その有害性のために、代用できるものがある場合は、使用されなくなってきています。ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロフォルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどがあります。有機則の第1種有機溶剤に指定されているものが多く、厳しい管理が求められます。

フッ素を含んでいる有機溶剤(フロン)

フッ素を含んでいる有機溶剤は、モントリオール議定書で廃絶が決まっているハロン、フロンに代表されるものです。

代替フロンも2019年のギガリ改訂で批准国は今後削減しなければならなくなっています。日本ではフロン排出抑制法によってこれらのフッ素系有機溶剤が規制されています。

有機溶剤は規制を遵守し適切に管理して使いましょう

以上見てきたように、有機溶剤にはいろいろな種類があり、性質も様々です。人や環境に対しても悪影響を及ぼすものが多くあります。

従って、有機溶剤を使用する際は、各種の規制を遵守して、適切に管理して使う必要があります。各種の規制は、この記事に書いてある労働安全衛生法の有機則や特化則、フロン排出抑制法だけではありません。

毒劇法、消防法、大気汚染防止法などの汚染防止の規制、道路法、船舶安全法などの輸送における規制、更には化管法(PRTR法)など様々な規制がかかっていますので注意しましょう。

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