サプライチェーンの位置と化学物質情報伝達(その7)

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数回前から、いくつか管理人が見聞きしたというか質問を受けた内容も含め、特定される部分は除いて書いています。
対応方法は、様々だと思うので具体的には書けませんが、多少でもヒントになればよいかなと思います。

このシリーズも、だいぶネタ切れになってきてしまいましたので、今回で終了することにしました。

最終回の今回の疑問(?)は、「急に来る調査で振り回される」です。

ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及び PFOA 関連物質

昨年から今年にかけては、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及び PFOA 関連物質にの調査に悩まされた方も多いかもしれません。

この物質の件については、過去に当ブログでも何回か取り上げてきました。

などですね。

それというのも、フッ素樹脂にある特定の加工をすると、これらの物質が生成するということから騒ぎが大きくなりました。

今年はその他にPFHxSについての調査も回っています。

PIP (3:1) Phenol, isopropylated, phosphate (3:1) 

もう一つ、今年大きく話題になったのが、アメリカのTSCA関連です。その中でも、PIP (3:1) Phenol, isopropylated, phosphate (3:1)という物質は、今年の初めから夏を過ぎてもいろんな調査が回っていた気がします。 

この物質についても、当ブログでは以下のような記事で取り上げています。

この物質については、業界の人たちもあまり精度よくモニタしてい無かったために、急に問題になり結構大騒ぎだったと聞いています。

こんな急に降ってわいた調査にどう対応するか

さてこんな聞いたことのない物質が、いきなりある時期から急に沢山の企業から調査が回ってきたとき、どうすればいいのでしょうか?

実際のところ、自分の会社で意図的にでも添加していない限り、このような聞いたこともない物質について使用しているかどうかわかる方はあまり多くはないと思います。

結局のところ、いつものように原材料・部品の調達先に聞いてみるしか手はありません。
しかしながら、このような調査は、割と短納期で調べてくれと催促などが来ることが多いと思います。

ですので、調達先にも事情を説明して優先して調査をしてくれるようお願いしてみるくらいしかできることはありません。

しばらくすると段々いろいろなところから情報が入ってきます。そしてその問題の理由がわかるようになります。このような状況になると、調査も比較的スムーズにいく時期となります。

PIP (3:1) は、実際には割と多くの場所に難燃剤として使用されていることがわかり大きな問題になりました。

PFOAは、既に製造はされていない物質のはずなので、何らかの副生成物としての可能性を調べるという途方もない状況になりました。この理由は、非常に小さい濃度の閾値が設定されたことによります。

今後もこのような 急に来る調査は起こりえます。

POPs条約の動きを見ると以下の物質には注意を払ったほうがいいでしょう。これらは、管理人の憶測ですのでいろいろやるならちゃんと調べてからにしましょう。

  • ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及び PFHxS 関連物質(ほぼ確実に廃絶対象物質になる)
  • デクロランプラス並びにその syn-異性体及び anti-異性体
  • メトキシクロル(殺虫剤なので、関係する人は少ない?)
  • UV-328(紫外線吸収剤、もう使ってないんじゃないかな)

おまけ

PFOAは、12月17日に公開された「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」で描かれている物質です。DuPontと戦う弁護士の物語。

この情報は、今も付き合いのある以前の会社の仲間から教えてもらいました。

コメント

  1. 還暦 環境調査員 より:

    いつも拝読させて頂いています。
    2021年はTSCA-PBT,PFHxS, さらに10月後半からPFCAsとその塩及び関連物質含有有無調査など
    閾値が25ppbなどという数値の依頼ばかり
    2ヶ月3か月経過しても返信無いメーカーもあり川中の商社は、依頼先に謝るしか方法がない

    終わりのない航海みたいな仕事だとつくづく感じます。

    • OFFICE KS より:

      還暦 環境調査員様、コメントありがとうございます。管理人です。
      さすがに、閾値25ppbは何なんだよと思ってしまいますよね。測らなければ絶対わからないレベルですからね。
      というか、そういう時は、川中だったら測る必要もないでしょうし、依頼先に事情説明するしか手はないと思いますね。
      別に謝るとかいう問題よりも理解してもらうの方が正しいような気もしますが。

      化学物質の管理に関する規制は足されるし、より厳しくなるし、考えようによってはこの仕事くいっぱぐれが無いと言えるかもしれないです。

  2. パンダ より:

    現在、PFOAとPFHxSとC9-C14_PFCAの調査が一律25ppbで依頼されててんてこ舞い中です

    <PFOA>
    意図的含有がないか確認の上
    不純物として生じる懸念は高エネルギー照射法によるテフロン粉末製造なので
    業者に高エネルギー照射法で作ったテフロン粉末添加してないか確認

    <PFHxS>
    25ppbと言いだしているのはJAPIAなので、
    SVHCの閾値1000ppm以下の25ppbをどう検査するのかまで考えてないのか?
    と思いながら意図的含有がないか確認

    として対応しているのですが
    C9-C14_PFCAも閾値25ppbでREACHがANNEX17として規制しており
    REACH(ECHA)はどうやって非意図的な1000ppm以下25ppb以上の含有を調査させる気なのか理解ができず頭を悩ませています

    ANNEX17の適用範囲等を読むにPFOAと同様、高エネルギー照射法によるテフロン粉末製造で不純物として生じそうではあるけど
    C9、10、11、12、13、14がSVHCの調査で非含有=意図的含有がない
    高エネルギー照射法によるテフロン粉末製造がない=非意図的含有がない
    で回答して良いものかどうか・・・

    • OFFICE KS より:

      パンダ様、コメントありがとうございます。管理人です。
      まず、測定せよという法令ではないと思うのです。
      それが大前提ですよね。であれば、パンダさんのように論理的に考える範囲で調べた結果はこうですと答えるしかないのではないかと管理人は思います。
      こういう考えで回答しています、というコメントを付けて返した方が相手は理解しやすいということはあるかもしれません。

      25ppbの世界って、通常測定方法も標準法があるとは思えないですね。あるなら教えて欲しい。もちろん分析機器の感度は上がっていると思うので、測定するだけならできるとは思うのですがお高いですよね。
      測れと言ってくることころがあるなら、思わず金出せやと言いたくなるレベルの話だと思います。

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