TSCAの第6条関係が騒がしい?

最近、TSCAの第6条物質に関する質問が多くなってきていると聞き及びました。

管理人、いやTSCAの第6条物質なんて特殊な場合しかもう使われてないものしか選定されないんだから、どうってことないだろ、と思っていたのですがどうやらそうでもないようです。

2021年3月11日更新
<重要>EPAは、3月8日に5つのPBT物質への規則で追加パブリックコメント募集を始めました。
この記事を必ず読んでください。
EPAがTSCAの5つのPBT物質への規則で追加パブリックコメント募集

なんで急にTSCAの第6条物質が問題に?

調べてみると、原因はこれのようですね。米国環境保護庁(EPA) 2021年1月6日公表
TSCAの第6条(h)に基づく5種類のPBT物質の最終規則を公表
(EnviX様のページを引用させていただきました。)

問題は、PBT5物質が含まれている製品や成形品も規制の対象になるということです。

管理人がお世話になっているJEMAIでも非常に早く、この情報は発信しています。

化学物質管理の法規制最新情報の2021年1月8日のヘッダがついたところに載っています。
ここには、事実が簡単に載っているだけですが、その下にある

CATCHER(化学物質管理のための情報提供サービス)に入っていただければ、詳しい情報を得ることができます。

2021年1月6日公表の詳しい情報が1月8日には和訳で得ることができるというとんでもないサービスです。はっきり言って安すぎ。

CATCHERの詳しい内容はこちら

対象5物質の話は後半でするとして、TSCA規制対応については、日本パルプ工業会のこのページが良くまとまっていると思います。

5種類のPBT物質は何か

今回の内容は、管理人は自分でEPAのページを見て読んでいるわけではありませんので、内容に関しては、上記で紹介している記事を参考にするとともに、最終的には実際のEPAの原文を参照してくださいね。

問題は、いわゆる使用禁止になる時期が最も早いものでは、2021年3月8日からだということですね。そして、特殊な用途の場合は、使用できる期限が延長されているような書き方となっています。

あと、1週間しかないじゃないか。

それでは、今回対象になるとされる物質は、どういったものでしょう。以下に、略称、英語名、日本語名、CASを記載しておきます。

  • DBDE Decabromodiphenyl Ether デカブロモジフェニルエーテル CAS RN 1163-19-5
  • PIP (3:1) Phenol, isopropylated, phosphate (3:1) イソプロピル化フェノールのリン酸塩(3:1) リン酸トリス(イソプロピルフェニル)CAS RN 68937-41-7 
  • 2,4,6-TTBP 2,4,6-Tri-tert-butylphenol 2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール CAS RN 732-26-3
  • PCTP Pentachlorothiophenol ペンタクロロベンゼンチオール CAS RN 133-49-3
  • HCBD Hexachlorobutadiene ヘキサクロロブタジエン CAS RN 87-68-3

問題は、これらの化合物がどこに使われていて、用途と規制の時期によりどのくらい影響があるかということになると思います。

これらの物質はどこに使用されているのか

では、これらの5つの物質はどこに使用されているのでしょう。もちろん全部調べられるわけもありませんが、ちょっとだけネットで調べてみました。

DBDE

これは、欧州RoHSや各国RoHSで規制されているので、電子電機機器には基本入っていないはずです。この物質は、ポリスチレン・ABS樹脂・ポリエステル用難燃剤です。しかも、もう製造は試験用ぐらいなのではと思えます。既存のものがなくなってしまえば終わりでしょう。

日本では、もうすでに化審法の第一種特定化学物質になっているので、まず使用されていないはずです。

PIP (3:1)

これは、NITEのCHRIPによれば、塩ビ製品の難燃性可塑剤となっています。しかしながら、それ以外にも、各種な接着剤、塗料、ペンキ、インクやPURに関する製品などに広く使われている、という情報があります。今回発表された規則では、接着剤及び封止剤用途は、2025年1月6日まで期限は延長されているようですね。
とはいえ、ニトロセルロース(nitrocellulose)、アセチルセルロース(Cellulose acetate)、エポキシ封止剤、ポリウレタン(Polyurethane)封止剤、農業用フィルム、フローリング材などの難燃性可塑剤、更には相溶性がいいのでオイルなどにも使われています。

ネットを検索してもこの物質が含まれているSDSが見つかります。

この物質は、リン酸系の難燃剤ということで、今までハロゲン系難燃剤のみが規制の対象として注目されていましたが、どこに使用されているか、完全には調査されていないかもしれません。

ということで、この物質は今回の5物質の中ではリスクが飛び切り高いように見えます。

2,4,6-TTBP

この物質は、管理人が会社員時代に製品含有化学物質管理の仕事を始める以前ですら、危険性があるの使用しない方向にあった気がします。

用途は、NITEのCHRIPによれば、酸化防止剤その他の調整添加剤(潤滑油用又は燃料油用のものに限る。)だそうです、というか有名な酸化防止剤だったように思います。

日本では、もうすでに化審法の第一種特定化学物質になっているのでまず使用されていないはずです。

PCTP

この物質は、調べてみるとまだ結構使われているみたいですね。

用途は、NITEのCHRIPによれば、有機ゴム薬品(素練促進剤)となっています。ということで、SH基を含むことから、ゴムの加硫のために使われているようです。

これも、今回の中ではリスクが高い物質でしょう。

HCBD

この物質は、NITEのCHRIPによれば、溶剤として使用されていたとあり、すでに過去形で書かれています。

日本では、もうすでに化審法の第一種特定化学物質になっているので、まず使用されていないはずです。

注意しなければならない物質は2物質

今回の規制にかかる5物質のうち、3物質は、日本の化審法において第一種特定化学物質になっています。冒頭のほうに、管理人は「TSCAの第6条物質なんて特殊な場合しかもう使われてないものしか選定されないんだから」と書いてしまいましたが、今回、2物質はそれに当てはまらず、現在も使用されている可能性が高いものがあったわけです。

しかも特殊な用途を除き、規制は3月8日から始まってしまいます。

皆さん、ご存じでしょうが、アメリカは訴訟社会です。摘発でも受けて、訴訟を起こされたら莫大なお金が飛んでいくことになり、下手すれば会社が傾く事態になりかねません(エアーバックの例を思い起こせばすぐわかります)。きちんとした対応手段をとるべきと思います。

コメント

  1. ななし より:

    いつも更新ありがとうございます。

    最近TSCAの化学物質調査依頼がすごく増えています。

    私は化学物質管理業務に就いてまだ1年とたっていないので、知らない化学物質法規も多く、このように更新されるたびに「また新しい法律だ!」と新しい敵(?)と遭遇しております。

    私が勤めているのは自社製品の製造や部材を購入して組み立てをするなど川中の企業で、REACH SVHCやchemSHERPAが更新されるたびに原材料メーカーへの調査依頼、また川下の企業への調査報告と忙しくなります。
    特に今回のTSCAでは、チューブなどの樹脂製品に対して規制物質の含有が判明したなどバタバタした日々を送っております。

    第24次SVHCとTSCAの更新、さらにchemSHERPAのVer2.03.00が控えているなど落ち着けるのはまだまだ先になりそうです・・・。

    • OFFICE KS より:

      ななし様、コメントありがとうございます。管理人です。
       この話、結構大手の企業さんでも問題になっているという話を聞きました。

       なるべく、ルーチン作業化するような仕組みにされると効率的ですが、今回のような突発的(?)(本当はそうでもなかったらしい)な場合焦りますよね。
      めげないでね。

  2. 通りすがり より:

    いつもお世話になってます。
    米国の化学物質規制は、欧州の後追いとの印象が強くてあまりマークしていませんでした。
    分かり易い解説、ありがとうございます。とても参考になりました。
    冷や汗もかいてますけど(苦笑)

    • OFFICE KS より:

      通りすがり様、コメントありがとうございます。管理人です。
      管理人もマークしてませんでした(^^;。
      今回の記事は、原文に当たっているわけではないのでご注意くださいね。

  3. TT より:

    PBT5物質はフタル酸みたいに移行性あるのでしょうか…?

    • OFFICE KS より:

      TT様、質問ありがとうございます。管理人です。
      PBT5物質はフタル酸みたいに移行性あるのでしょうか…?
      ということですが、以下のお答えは完全に管理人の個人的見解です。何の保証もないことを断っておきます。

      化審法第一種特定化学物質(これらは、いわゆる製品には含有されることはない)以外の物質はPIPとPCTPですが、
      これらの化合物が混合物として存在しているのであれば、移行性はあると考えたほうがいいと思います。要は程度問題です。
      この点は、他の化合物でも一緒です。

      特に可塑剤であるPIPは相当な割合で入れると思うので、どの程度移行するなどの検証はされていないと思いますが、移行性はあると考えるのが自然だと思います。
      ただ、TSCAが移行して含有した化学物質の取り扱いをどうしているのか管理人は知りません。

      また、PIPは意図的に添加している場合の件においても、改めてパブコメを募集している段階ですから、今そんな心配をしなくともよいと思います。
      問題が顕在化したら、どちらにしろ改めて検討されるはずなので、静観でよいと思います。

  4. NH より:

    ちょくちょく見させていただいて参考にさせていただいています。
    金属加工業で加工時に油使用してますが安全データシートには成分情報に石油系炭化水素および添加剤と記入されてますが、この場合添加剤にPIPが含まれている可能性があるのでしょうか
    (相溶性がいいのでオイルなどにも使われています)と書かれていたので

    • OFFICE KS より:

      NH様、質問ありがとうございます。管理人です。
      PIP含有の可能性ですが、日本においてはどの規制においてもSDSへの記載が必須とはなっていないはずですので、可能性がないとは言えないが答えとなります。
      ですが、購入先に聞いちゃうのが一番早いと思います。

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