chemSHERPA Tips(9)データの曖昧性をどこまで認めるか

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chemSHERPA Tips(9)は、データの曖昧性のお話です。

そして、chemSHERPA Tipのシリーズは、今回で終了です。

「いやいや、まだ書くことなんて沢山あるだろ!」という突込みはあるかもしれませんが、あんまり細かいとこまでやってもと思ったりしています。この件が知りたいというリクエストがあれば、コメントで下さい。気が向いたら書きます(^^;。

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データの曖昧性とはどういうことか

データの曖昧性の話とか書くと「はあ、管理人何言っての?」と言われそうです。chemSHERPAは管理物質も決まってるし、書くべき項目もデータ作成支援ツールでわかるし、間違ったら黄色くハイライトされるし、問題ないんじゃないのと思われるかもしれません。

ですが、データを作ったことがある方ならわかると思いますが、同じ製品を見てA社さんが作るデータとB社さんが作るデータは同じにはならない場合があり得ます。もっと言うと、多分社内ルールをよほど厳密にしないと同じ製品をCさんとDさんが作った場合、違うデータになる場合もあり得ます。

実は、当ブログではそのような例を過去に紹介しているのですが、再度どういうことなのか解説していきます。

以前解説したトランスのニッケルメッキについて

以前、chemSHERPAがVer.1.XXの時代に、このブログでトランスのデータ作成の解説をしました(この辺りから始まります)。

その際に使用した、chemSHERPA事務局から出ているサンプルデータのトランスの遵法判断情報は、以下のようでした(図1)。Yのみ表示されています。

図1 Ver.1.XXのトランスのサンプルデータの遵法判断情報

これに対して、本ブログでは、これは表面実装部品なので、ニッケルメッキが長時間皮膚に接触する可能性は無いとして、次の図のような判断をしました(図2)。

図2 Ver.1.XXのトランスのサンプルデータの遵法判断情報

つまり、ニッケルメッキに対する判断が異なるため、結果として異なったデータが作成されます。

このことは、chemSHERPA-AIのデータ入力(20)遵法判断情報をサンプルと比較に書いてありますので参照してください。

実は、このトランスのデータは、Ver.2.00のサンプルデータでは、図3のようになっており、当ブログの判断結果と同じになっています。

図3 Ver.2.00におけるトランスのサンプルデータの遵法判断情報結果

ここで言いたいのは、当ブログが正しかったとかそういうことではありません。

重要なのは、データを作る際に人間の判断が入るので、同じものを見ても違うデータになる可能性があるということです。今回は、表面実装ですから判断にあまり違いが起こらないはずですが、コネクタのようなものの表面にニッケルメッキが施されていた場合、ある人は遵法判断フラグをYにし、別の人はNにするということは起こりそうなことです。

成分情報でも違いは起きる

遵法判断では違いがあっても、成分情報では違いは起こらないのでは無いかと思われる方がいるかもしれません。
しかしながら、現実にはそうでもありません。図4には、Ver.2.00用サンプルデータのトランスの成分情報を示します。

図4 Ver.2.00のトランスの成分データ

一方、管理人がこのブログで作成したデータが図5です。

図5 Ver.1.XXの時に当ブログで作成した成分情報

もちろん、元の素材が違うので微妙に違うところがあるのですが、見てほしいのはそこではなく、core(コア)の材質情報です。サンプルデータではコアの材質は鉄鋼/鋳鋼/焼結合金となっていますが、管理人が作成したデータでは、材質はセラミックとなっています。

ということは、同じトランスのコアであっても材質を異なる解釈をする人がいるということです。

管理人は、上に書いたような解釈をコアにしており、サンプルデータが間違っていると思っています。でも、そうではなく考える人もいるわけです。

以上のように、chemSHERPAのデータには、同じ製品を見ても違うデータが作成される可能性は多々あります。ということは、データには曖昧性があるということです。

実害がないなら気にしない

実際には、chemSHERPAでは(他の情報伝達でも実際は同じです)上のような違いが重積して伝達されることになります。
では、上のような間違いをした場合何か不都合が起きるのでしょうか?ニッケルメッキの場合は、本当に長時間皮膚に接触する場合にそうではないと判断する場合は、不都合が生じることになります。
しかし、表明実装の部品(絶対長時間接触なんかしない)にYの判断をしても実際上は、確認の面倒くささが増える(金がかかる)だけでそれ以外の不都合は生じません。

材質情報の解釈の違いも実際には実害は生じません。

日本の方は、どちらかというと、こういう面にまで同じになるまでやるような厳しさが存在することが、往々にしてある気がします。

実害がないならあまり気にしない方が、精神衛生上よいと管理人は思います。もちろん、厳しく見なければいけない項目もあるので、メリハリをつけるとよいでしょう。

chemSHERPA Tipsは、今回で終了

chemSHERPAのTipsのシリーズは、今回で終了です。今後は、chemSHERPA関係の記事は、Ver. upやトピックスがあるときだけで、このようなシリーズ物は書かない予定です。

ただ、もし皆様からのリクエストがあれば、chemSHERPA関係の連載物を始めるかもですが、何を知りたいかリクエストして頂ければ助かります。

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コメント

  1. 右往左往 より:

    いつも本サイトにはお世話になっております。数か月前に突然化学物質管理担当になってしまい管理人さんのわかりやすい解説に助けられてます。データの曖昧性・・・今、とても気になっているところです。川中企業だとどうしても100点満点のchemSHERPAは作れませんし、川上企業に依頼してもえ?本当に?という回答項目もあったりで。そんな私は遵法情報の「判定情報」にチェックを入れた項目だけが、川下に伝達されると思い込んでおりました。これはONのみ表示で見やすくするためだけのものだったとは!日々勉強です。これからも更新楽しみにしております。

    • OFFICE KS より:

      右往左往様、コメントありがとうございます。管理人です。
      少しでも役立っているなら幸いです。突然化学物質管理担当、ご苦労様です。
      今まで全く異なる部署にいたとなると結構戸惑いますよね。
      でも、管理の仕掛けの大枠は変わらないので、少しづつ慣れるしかないと思います。
      ご活躍を期待しています。

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