2025年5月8日に国会で労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第
33号)が可決されました。
これに基づいて、厚生労働省より通知が5月14日に出ています。この日に、この法律は公布されています。(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250516K0010.pdf)
今回はこの中の化学物質関する部分を見ていきましょう。
化学物質による健康障害防止等の仕組みの整備と言う項目がある
この文書の中には、項目のIIIとして、「化学物質による健康障害防止等の仕組みの整備」があります。
作業環境測定の対象拡大
管理人は、作業環境測定について詳しくはないのですが、この法律が、作業環境測定法の一部を改正する法律と言う名前を持っていることからこの部分に修正がかかることがわかります。
特に健康障害の防止のための措置等に当たつて行う作業環境測定について厚生労働省令で加えることができるようになっているので、対象物質を結構迅速に決められるようになるのではないかと予想します。
作業環境測定士試験及び登録
この部分は、作業環境測定士の試験要件などの話ですので省略します。
危険性及び有害性情報の通知制度の履行確保
今回の記事で、一番重要なのは多分この項目でしょう。
危険性及び有害性情報の通知制度はいわゆるSDSのことです。今まで、SDSの通知は、義務ではあるものの罰則は設けられていませんでしたが、罰則が設けられます。
内容は、以下です。
六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金
更には、今まで努力義務であった変更事項の通知(つまりSDSに記載される内容に何らかが変更が当た場合それを伝えること)が義務に引き上げられます。
ただし、この規制の施行は、「公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日」と条件が付いているために、かなり先になりそうです。
管理人は、絶対に引退しているでしょう(^^;。
営業秘密である成分に係る代替化学名等の通知
これは、SDSによる伝達において、営業秘密である成分に対してどういう対応をする必要があるのかということが書かれています。
- 営業秘密である成分は、代替化学名で通知する場合は、相手方にあらかじめ明示する。
- 代替化学物質の通知する際は、厚生労働省令で定める事項を記録としておかなければならない。
- 代替化学物質において健康障害やその恐れがある場合は、医師による診断、治療に必要な場合、情報を開示しなければならない。
- 厚生労働大臣は、必要な指針を公表したり、指導ができる(まあ、これは国側の行為なので事業者は関係ありません)。
SDSによる通知不履行が刑罰対象になる
今回の法改正において、事業者にとって大きな影響があるのは、まだ先とは言え、SDSによる通知不履行が刑罰対象になることでしょう。
もちろん、SDSによる危険性及び有害性情報の通知は、義務ですので今でもやらなければなりません。
ただねえ、管理人、SDSの今の状況から考えて、刑罰対象になることが履行確保につながるのかどうかちょっと疑問だったりします。
ここからは、管理人が勝手に考えていることなので、そうじゃないという人がいても、なんてこと言うんだという人がいても全然ありだと思います。
SDSによる通知、日本人は、まじめなのでそりゃ今よりよくなるとは思いますけどね。でも、SDSの通知ってPRTRと違って、どんな小規模な事業でも対象です。
そして、自分たちがSDS通知をしなければならない対象者なのだということを知らないところも沢山あるんじゃないかと思うんです。
ましてや、履行をチェックする人やその工数は、どっから持ってくるんだということです。
日本は、警察は沢山の人がいていろいろ取り締まりとかも行っていますが、道路交通法の違反なんて実際にはそこいらじゅうで起きていると思います。事故になったり、取り締まりでつかまったりするのはごく一部でしょう。
結局、SDSも程度がひどい場合、見せしめに刑罰対象にするかもしれませんがそれ以上のことはできないのでは無いかと思います。
SDSによる通知の履行をより確実に行うには、もしそうしたければですけど、他の対策も必要なんじゃないのと管理人は思います(別に管理人は、そうしなければならないとは思っていないです)。
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