製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その15)

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どうも管理人です。製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座の15回目です。今回は、ハロゲンについてです。

いやね、超初級化学講座とか言いながら、REACHのSVHCとかPFxxとかの解説が有ったりで、 超初級化学と言い難い回もあったので、たまになるべく易しいほうに戻らなきゃという気持ちになるのです。

今回は、なんとなくの記述になっていますのでご注意ください(いつもより正確性がよりかけていると思われます)。

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ハロゲンとはなんぞや

ハロゲンは、周期表で第17族に属する元素の総称です。

通常は、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ素)、At(アスタチン)の総称になります。最近、周期律表ではAtの下に来るTs(テネシン)が認められたようですが、通常生活では全く縁がないでしょう。Atもそれは同じです。

ですので、我々の日常生活や工業で関わるものは、FからIまでの四元素です。

塩素は生物には必須の元素

我々の体というかほとんどの高等生物では、必須のミネラルであるナトリウムのもととして、塩化ナトリウム(つまり塩)を使用します。

ですので、もう塩がなければ我々の体は維持できないので、必須の元素になっています。

ハロゲンはこのように金属塩、特に 周期表で第1族 であるLi,Na,Kなどとは、1:1の塩を作ります。

有機ハロゲン化合物は、規制強化の歴史を歩んでいる

金属と反応して作られる塩と異なり、炭素とハロゲンの結合は、分極しているとは言え共有結合です。

有機ハロゲン化合物はいろいろな利便性のために広く使われてきましたが、その毒性や危険性のためにどんどん規制が強化されてきた化合物です。

溶剤としての有機ハロゲン化合物

有機ハロゲン化合物の溶剤は、その不燃性と洗浄能力の高さから非常に重宝されていましたし、溶剤としても多量に用いられていました。

ところが、それらの物質の人体への影響や、オゾン層を破壊する性質などがわかると、強く制限がけられました。

製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その12)

もご覧ください。

規制された典型の有機ハロゲン化合物 PCB

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、皆さんご存じだと思いますが、日本にはこの化合物の名前の付いた、

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法

というものが存在するくらいに厳しい規制がかけられている化合物です。

もともとPCBは、熱に安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性も強かったので、変圧器やコンデンサの絶縁油、加熱冷却用の熱媒体などとして広く用いられてきました。

1968年に起こったカネミ油症事件をきっかけに製造、輸入が禁止されました。いわゆる化審法です。

臭素系難燃剤の一部はRoHSでの制限物質

分子量が大きくPCBに類似した構造を持つ、臭素系難燃剤の内PBDE(ポリ臭化ビフェニルエーテル)とPBB(ポリ臭化ビフェニル)は、各国のRoHSで制限されている物質になっています。

これらの物質は、難燃剤として優秀なので、特に電気製品には多く使用さえていました。ところが、これらの物質もPCBとの類似性から(特に、PBBはPCBの塩素が臭素に変わっただけの化合物)、その性質が問題となりRoHSにおいて制限される物質になりました。

現在は、それ以外の臭素系難燃剤に関しても各種のリスク評価が行われていると思われます。

製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その11)

もご覧ください。

分子量の大きい有機F(フッ素)化合物は、規制の波に見舞われている

フッ素系の有機溶剤は、オゾン層破壊物質 地球温暖化係数の高い物質ということで、製造使用が無くなって行っています。冷媒として使用それている装置も入れ替わっていくでしょう。

2021.9.22つくし様の指摘を受けて修正
ちなみにオゾン層破壊物質は、主に塩素・フッ素系化合物です。

一方、分子量の大きなフッ素化合物は、典型的な用途として、フライパンのテフロン加工ほかいろいろな用途に使用されてきましたし、今でもされています。

ところが、フッ素系の化合物は、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とその塩、及びPFOSF(ペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド)が2009年にPOPs条約で制限に入り、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質が、2019年に廃絶に入ったことにより、ほとんど使用できない状態になっています。

更には、POPs条約に対してペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及び PFHxS 関連物質の廃絶への勧告もされています。

また、各国におけるPFAS規制の検討により、より広範囲な規制がかかると考えられます。

このように有機フッ素化合物は、規制の波に見舞われているのが現状なので注意が必要です。

品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その8)

もご覧ください。

その他にも注意しておいた方が良い有機塩素化合物

有機塩素化合物のデクロランプラス並びにその syn-異性体及び anti-異性体については、POPs条約の事前検討会であるPOPRCにおいて情報収集やリスク評価などが進められています。

用途は、難燃剤なのですが、結構古くから使用されているものです。すでに終わっていますが、2020年2月に経済産業省からも調査依頼が業界に投げられました。

なので、動向は注意したほうがいいかもしれません。

コメント

  1. prince より:

    管理人様
    いつもお世話になります。

    このシリーズすごく好きです!

    大変勉強になりますので今後もお願いします。

    • OFFICE KS より:

      prince様、コメントありがとうございます。管理人です。
       このシリーズ、思ったより需要があるようなので続けてはいきたいのですが、
      そろそろネタ切れになってきました。
       それと体系とか考えずにランダムに書いてきたので、何を書いたかわからなくなるという問題が(^^;。

       もうちょっとだけ頑張ってみますね。
       

  2. つくし より:

    管理人様

    いつも楽しく閲覧させていただいています。
    超初級化学講座は楽しみにしていますので、ぜひ続けてください。
    規制物質はその名前を覚えているだけの状態なので、「~基」などの説明はとても助かります。

    ところで、『フッ素系の有機溶剤は、オゾン層破壊物質~』とありますが、フッ素系はオゾン層を破壊しない(ただし温暖化係数が高いため規制されている)と思っていたのですが、認識が間違っているでしょうか。

    • OFFICE KS より:

      つくし様、コメント、ご指摘ありがとうございます。管理人です。
       あちゃー、これはやってしまいましたね。
       つくし様の言う通りですね。修正します。

       これに懲りずに当ブログをよろしくお願いいたします。

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