RoHS指令の基礎(1):条約、法規いっちょかみ(その3)

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「条約、法規いっちょかみ」シリーズの3回目です。

今回の規制は、電気や磁気で動くものはほとんど関係がある、皆さん結構おなじみのRoHS指令です。ですが、多分1回では終わりそうにないので、2、3回に分けます。

今回の法律は欧州のRoHS指令

まず、RoHS指令ですが、原文の乗っているサイトは、
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32011L0065
になります。

そして、今日本では改正RoHSとかRoHS2と呼ばれているものの正式名称は、以下です。

DIRECTIVE 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 June 2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment (recast)

日本語に無理やり訳すと

電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日の欧州議会及び理事会の2011/65/EU指令

みたいな感じになります。

the restriction of the use of certain hazardous substances の頭文字を取ってRoHS指令と呼ばれます。

ただ、この記事では面倒なので改正RoHS指令を単にRoHS指令と書きます。今適用されている指令だからです。

RoHS指令は、基本的に廃電気電子製品からのリサイクルの容易性や最終処分とその後の人や環境への悪影響を抑えるために制定されています(第1条)。なので、規制を作る段階では欧州のWEEE指令(廃電気電子製品に関する指令)と一体として考えられていたようです。

多分、RoHS指令を全部理解しようとするとREACH規則ほどではないにしろ、それなりに大変だと思います。
なので、重要と思うことを書いていくことにします。逐条解説では全くありません。

RoHS指令の基本的な項目

RoHS指令は、欧州の製造者、輸入者、認定代理人に義務を課す規制

当たり前なのですが、RoHS指令は欧州における規制です。従って、欧州域外の人や法人が罰せられることは普通ありません。
とはいえ、サプライチェーン上、欧州に輸出される電気電子製品を製造したり、その部品を作っておられる方は、お客さんから「RoHS指令を守ったものを下さいな」という要求が来ると思います。

RoHS指令の対象物は、電気電子機器(EEE)

RoHS指令の対象物は、通常日本語では電気電子機器と訳されている electrical and electronic equipment (EEEと略されます)になります。これらは、カテゴリー分けされていて附属書Iに記載があります。

EEEは、適切な動作を電流もしくは電磁場に依存する機器、およびそのような電流や電磁界の生成、伝達、測定のための機器を言います。

そして、かつ定格電圧が交流では1,000ボルト、直流では1,500ボルトを超えないように設計されたものを言います。

上でピンクで書いた依存するというのは、EEEに関して、少なくとも1つの意図された機能を果たすために電流または電磁界を必要とすることを意味します。

以上のようなことは、第3条の定義のところに書いてあります。

RoHS指令で制限される物質

RoHS指令で制限される物質は、附属書のIIに書いてあります。

これは、皆さん良く知ってますよね。

均質材料(homogeneous materials)に対して質量%で最大濃度は以下のように決められています。

Lead (0,1 %)
Mercury (0,1 %)
Cadmium (0,01 %)
Hexavalent chromium (0,1 %)
Polybrominated biphenyls (PBB) (0,1 %)
Polybrominated diphenyl ethers (PBDE) (0,1 %)
Bis(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP) (0,1 %)
Butyl benzyl phthalate (BBP) (0,1 %)
Dibutyl phthalate (DBP) (0,1 %)
Diisobutyl phthalate (DIBP) (0,1 %)

実は、この 均質材料(homogeneous materials) というのが曲者なんですよね。これがあるおかげで、最終製品製造者は調べる数が滅茶苦茶増えます。

RoHS指令には用途適用除外がある

RoHS指令には、用途適用除外というものが存在します。これは、今の技術では上の制限される物質を使わなければ機能が果たせない場合や、代替材料を使うとより環境負荷が高くなる場合に対して、特定用途にのみ制限物質の使用の許可が下りるという仕組みです。

これは、用途適用除外をしてもらいたい産業界側が申請しなければなりません。許可された用途適用除外は、附属書IIIと附属書IVに記載されます。

附属書IVは、医療機器、監視・制御機器の付属書Iのカテゴリーでいうと8と9に対して適用されるものが記載されています。

そして、これらの 用途適用除外は、期限が決められており、それを過ぎてもまだ用途適用除外を受けたい場合は、欧州に申請する必要があります。

RoHS指令のFAQ

RoHS指令を読んでいるとどう解釈したらいいのかわからない項目が出てきたりします。そこで、FAQみたいなものが無いのかなと思うわけですが、あります。

欧州委員会のHPでHome>Topics>Waste and recycling>RoHS Directiveのページの中に、

FAQ key guidance document – RoHS, English (221.86 KB – PDF)がありますのでDLしてください。

ここにかなりの部分が書いてあると思います。

RoHS指令における義務の内容などは次回以降に

今回は、RoHS指令の本当に基本的な部分を書きましたが、実際には、製造者、輸入者、認定代理人に義務が課せられているわけです。その条項は、今回の記事では全く説明していません。

義務を課せられる人とそうでない人はやることも異なります。その話はまた次回に。

コメント

  1. こーし より:

    これ期待!!

    • OFFICE KS より:

      こーし様、いつもコメントありがとうございます。管理人です。
      大変励みになります。

      他の皆様もこーいうんで良いんです。それだけで、管理人モチベーション上がります(^^)。

  2. prince より:

    いいですねー!
    とても勉強になります!!!

    • OFFICE KS より:

      prince様、コメントありがとうございます。管理人です。

      それは良かったです(^^)。管理人もモチベーション上がります。

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