製品化学物質の情報伝達について(その15)物質に使用制限がかかる時の考え方

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情報伝達を実行する場合に、自社の製品に関する情報が外部要因で変化する場合がいくつか考えられます。

情報が変化する場合としては、製品化学物質の情報伝達について(その8)でSVHCの場合を示したように、情報伝達するべき物質が増える他に、法規制の使用制限対象物質が増える(例としてはRoHSのフタル酸エステル)、制限する閾値が変化するなどのことです。

規制物質が追加されたらどこまで調べるか

製品化学物質の情報伝達について(その8)ではSVHCでの例を示して、100%正解の手法はないと述べました。SVHCは半年に一度追加されるので、その調査はたまったものではありませんが、自社に関係なさそうな物質ばかりだったらあまり詳細な調査は必要ないかもしれません(やり方はいろいろあるでしょうが)。必要なのは情報伝達であって含有制限ではないからです。

ところが、RoHSのフタル酸エステルのように規制に制限される物質が追加されるとなると、そうもいっていられません。今回はフタル酸エステルを例にしますが、制限物質が追加される場合は同じプロセスになります。

新たに作る部品や材料であればそれを作る際に、「フタル酸エステル入れないで作ってね」と指示できますが、現在製造に使っている部品や材料に入っているのかいないのかは、再度調べなおすことになります。
少なくともこれから作る製品に使用される部品や原材料については、フタル酸エステルに特有の移行の問題がなくとも、有機物を含んでいるものについては、全部再調査になります。

そして、制限がかかるので、含有されていた場合、全部切り替えなくてはいけません。

自社では1万点以上の部品や材料を使用しているんだよ、(泣)、、、

こういった場合、自社の製品を製造するのに、沢山の部品や材料を使用している会社の方は、ものすごく大変になります。

まずやることは、フタル酸エステルの含有調査になります。そして含まれていることがわかったら、その部品や材料の代替依頼です。実際には同時にお願いするのでしょうが、プロセス上はそうなります。

代替は、特性や品質に影響するので、その確認(自社基準による検定)を再びすることになります。このような品質確認を伴った切り替えは、検討を始めてから実際に切り替わるまで半年かかるなどということはざらにあります。

一方、規制の施行は待ってくれないので、調査や切り替えの依頼は、可能な限り早くする必要があります。自分の取引先にお願いしても、実際に切り替えなければならないのは、更に上流の会社である場合も多いからです。

例えば、自社で今後作る製品に使う既存の部品や材料が1万点あったとしましょう。まず、これをあなたの会社では金属や無機材料だけでできているものと有機材料を含むものにすぐに切り分けられるか、もしくは取引先で分けられるのか、これがすぐにできなければ全部の調査になります。
この場合、説明しないと「金属製品まで全部調査しろっていうのかよ、何考えてんだ!」と怒りのクレームが来るかもしれません(^^;

調査したうちの10%に対象のフタル酸エステルが入っていたとしましょう。すると、1000点の部品や材料の切替を行わなければならないことになります。

これをいつもの自社のペースでやっていたら、規制の施行日に間に合いそうもないとわかった時は、どうするのかを考える必要があります。
臨時に他部署から使える人員を回してもらうのもありでしょうし、めったに作らない製品の部品に関しては、後回しにするのもありかもしれません。下手すると生産計画を修正したりお客さんに説明して回る必要すら出かねません。いずれにしても、機会損失を最小化するように施策を打つことになると思います。

物質の使用制限が来るとわかったら、早め早めに手を打ちましょう

外部要因で、情報が変化するものの中で、今回は物質そのものが制限される場合を見てきました。

このような場合は、やることが沢山あるし会社の他部署にも影響が及ぶ場合も多いので、早め早めに手を打ちましょう。

RoHSは制限物質の追加に関して、検討は進んでいるはずです。

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化学物質情報伝達
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コメント

  1. ひとりおやかた より:

    管理人様
    いつもお世話になっております。

    今回の話題で思い出しました。
    コップ15? 違う! パック15!でした。
    7物質群が評価検討に上がっていましたね。その後どうなったのか気になりますので調べてみます。

    • OFFICE KS より:

      ひとりおやかた様、コメントありがとうございます。管理人です
      ひとりおやかた様のような方がいる企業の方は、幸せだと思います。きちんとアンテナを張っておられますからね。
      そうではない企業も非常に多いのではないかと管理人は思っています。

      PACK15は、要注意項目ですね。

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