今回は、エコデザイン規則(ESPR)の9回目になります。
今回は、第5章の優先順位付けと計画及び協議(PRIORITISATION, PLANNING AND CONSULTATION)の内容になります。
条項としては第18条から第22条までです。
第5章の内容
第5章の内容は、実際のエコデザイン要求を作成するためのやり方(事前手続き)が書かれていると言って良いでしょう。
第18条 Prioritisation and planning
第18条は、エコデザイン要求事項の対象となる製品の優先順位を決定するに考慮すべき基準が述べられています。
この際気候・環境・エネルギー効率の目標達成への貢献度がはかられるのはもちろんですが、費用対効果、販売量、バリューチェーン全体の影響等を考慮することが書かれています。
更には、定期的な見直しにも言及されています。
そして、欧州委員会は、作業計画を採択し、関連する準備文書(「作業計画」)とともに、一般に公開する、となっています。作業計画は少なくとも3年間をカバーし、定期的に更新されなければなりません。また、売れ残り消費者製品の廃棄禁止措置についても検討に含むことになっています。
2025年4月19日までに採択される最初の作業計画において優先される製品グループが書かれています。
(a) 鉄と鋼;
(b) アルミニウム;
(c) 繊維製品、特に衣料品と履物;
(d) マットレスを含む家具;
(e) タイヤ
(f) 洗剤;
(g) ペイント
(h) 潤滑剤;
(i) 化学物質;
(j) エコデザイン要求事項が初めて設定される、または指令2009/125/ECに従って採用された既存の対策が本規則に基づいて見直されるエネルギー関連製品。
(k) 情報通信技術製品およびその他の電子機器
更にセメントに関しては特別に項目が設け有られており、以下のようになっています。
建設製品規則において、セメントの環境フットプリントおよびカーボンフットプリントに関する適切な性能要件および情報要件が定められていない場合、欧州委員会は、第4条に基づき採択される委任法令において、2028年12月31日以降かつ2030年1月1日以前に、セメントに関するエコデザイン要件を定めるものとする。
第19条 Ecodesign Forum
第19条は、対象製品の関係者や専門家(加盟国が指名)からなるエコデザインフォーラムについて書かれています。
エコデザインフォーラムが行うことは以下のようなものです。
(a) エコデザイン要件の準備
(b) 作業計画の作成
(c) 確立された市場監視有効性を検証する
(d) 自主規制措置の評価
(e)附属書VIIに記載されたものに加えて、売れ残った消費財の廃棄の禁止について検討する。
第20条 Member States Expert Group
第20条は加盟国専門家グループについて書かれています。これは、エコデザインフォーラム内にサブグループとして設置されます。
専門家グループが行うのは、以下のようなことです。
(a) エコデザイン要件の準備
(b) 自主規制措置の評価
(c) 本規則の遵守を強化するための方策に関する情報とベストプラクティスを交換する;
(d) 第26条に基づく優先順位の設定
第21条 Self-regulation measures
第21条は、自己規制措置について書かれています。
これは、第4条によって決められた委任法に含まれない製品に、事業者が自ら定めたエコデザインの要求事項を持って、自主的に規制する措置を欧州委員会に提出するというものです。
自己規制措置には以下のものが含まれなければなりません。
(a) 自主規制措置に署名している経済事業者のリスト
(b) 自主規制措置の対象となる製品に適用されるエコデザイン要件
(c) 詳細で透明性のある客観的なモニタリング計画で、産業界と独立した検査官の責任を明確にしたもの
(d) 加盟国が報告すべき情報、試験および検査に関する規則
(e) 署名者が3ヶ月以内に十分な是正措置を講じなかった場合、当該自主規制措置の署名者から除外される規定を含む、署名者の不遵守の結果に関する規定
(f) 第 1 項に従って提出された自主規制措置が、第 4 条に従って採択された委任法よりも、本規則の目 的に沿って製品の環境持続可能性をより迅速に又はより少ない費用で改善する方法を説明する文書。当該文書は、自主規制措置のエコデザイン要件及び目的を正当化し、エコデザイン要件 の影響を評価す
る、構造化された技術的、環境的及び経済的分析からなる証拠によって裏付けられな ければならない。
その他に2事業者以上が参加していることや参加事業者の製品の市場シェアが80%以上であることが定められています。
その他にも進捗報告に関することや遵守不足に対する措置など欧州委員会が行うべき行為も沢山書かれています。
第22条 Small and medium-sized enterprises
第22条は題名は中小企業となっていますが、実際の中身は、中小企業に対する支援措置が書かれています。
中小企業ならではの問題に対応した、デジタルツールやガイドラインを準備することや、それを行う際に中小企業を代表する組織と協議することになっています。
中小企業、特に零細企業がこの規則の要件に適用させるために、ネットワーク機会を創出するためのワンストップ・ショップ(まあ、ここに相談すればいいという場所ですね)を確保するとされています。
さらに以下のような支援が挙げられています。
(a) 財政的な優遇措置の提供や、物理的・デジタル的なインフラへの投資など、財政的な支援を行う
(b) 金融へのアクセス
(c) 専門的な管理およびスタッフ・トレーニング
(d) 組織的・技術的支援
こういうのって、日本だと必ずしもうまく行ってない場合も多いけど、欧州はどうなんだろう?
管理人は、その辺のところは疎いので知っている方がいたら是非教えてください。
もっと簡略化したい
管理人、ここまでエコデザイン規則(ESPR)について書いてきましたが、もはや一般的に考えられている製品含有化学物質管理の範囲を逸脱していると思う方もいるでしょう。
第5章に化学物質なんて言葉は一切出てきませんし、これからも少ないでしょう。それでも続けているのは、この規則が製品自体の製造・販売に大きな影響があるであろうと予測するからです。
次回の第6章は売れ残った製品の廃棄に関する章です。個々の製品で規制があるものはありましたが、全体の売れ残り製品の措置に関するものはなかったと思います。
要は、エコデザイン規則(ESPR)は、今までのような生産活動において普通だと思っていた考え方を修正させるような規制になっています。
とは言え、大枠さえ知っておけば大丈夫のような気もしますので、可能な限り簡略化して書いていこうと思います。

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