TSCAとは何か?(その3)は、TSCA6条物質(いわゆる禁止物質)についてのお話です。
TSCA6条物質とは何か?
TSCA6条は、有害な物質に対して、商業における製造、加工、および流通に関する禁止、制限をする条項です。
そこには、実際の物質も書かれています。
項目(e)Polychlorinated biphenyls (PCB)
項目(f)Mercury (Hg)
PCBと水銀ですね。もちろん除外事項はあるものの、ほぼ禁止されています。
このほかに、
項目 (h) Chemicals that are persistent, bioaccumulative, and toxic (PBT)
があります。
難分解性で生物蓄積性で毒性がある物質ということになります。
この項目は、TSCAの2016年の改正により追加されました。
6条の項目(h)で規制された物質
実際のところ、項目(h)を理由に追加された5物質に関して2021年3月からひと騒ぎあったわけです。
追加された5物質DBDE、PIP (3:1)、2,4,6-TTBP、PCTP、HCBDのうち、特にPIP (3:1)は消費者製品にも普通に使用されていたため、どこに使用しているかの調査及び代替については、施行日にはとても間に合わないということになりました。
そのため、業界はEPAと交渉したと思われます(あくまで管理人の推測です)。そして、いくつかのことが延期されました。このあたりのことは、当ブログの過去ページをご覧ください。
では、最終結論はどうなったんだろうと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
最終規則は、1年半以上前の2022年3月8日に発効されています(リンクはこちら)。
ここに、成形品についてOctober 31, 2024まで規制適用を延長する旨が書かれています。
TSCAは判り難い!
TSCAにおける化学物質の禁止、制限などは、この6条でも行われますし、5条を根拠にしたSNUR(重要新規利用規則)でも行われます。
管理人はTSCAについては必要な部分をつまみ食いしている状態で詳細に理解しているわけでは全くありません。他の有名な化学物質に関するサイトを参照したほうが良いと思います。
ということで、TSCAとは何か?は今回で終了です。
コメント
教えてください
弊社は半導体露光装置向けのモジュールを製造しています。
PIP(3:1)の規制とその対応に関わってきましたが、今年になり、EPA/TSCAにより以下の様に法令の変更が「提案」された旨の情報がありました。弊社として重大な関心があるのですが、その後情報が更新される模様がありません。
教えて欲しいのは この「提案」とは
1)すでに有効でこの先10年はPIP含有品を米国に輸出してもよい。よって2033年まで特段の対応は不要。
2)現段階でも「提案」にすぎず、やがて「決定」されるか「却下」される可能性もあるので2024年10月以降含有部品を出荷しない対応が必要。
もし2)であるならば「決定」「却下」はいつ頃決まってどのように周知されるのでしょうか
よろしくお願いします。
記
(vi)製造装置及び半導体製造業
40 CFR 751.407(a)(2)(ix)を追加し、商業上の加工および流通に対する遵守期限を現行の2024年10月31日から2033年11月25日までに延長することを提案しています。
NBA4987様、ご質問ありがとうございます。管理人です。
ご質問の件は、どちらかと言えば個社固有の問題であり、本来であれば有償でコンサルするような案件とは思いますが、提案に関する全体としてお答えします。
おっしゃっている提案とは、
https://www.epa.gov/assessing-and-managing-chemicals-under-tsca/current-and-future-actions-pbt-rules
のことを指していると思いますが、
この文書はおっしゃるように、 Proposed ruleに関するものです。実際の細かい文書は、Linkをたどってくださいとあります。
そしてコメント期間は、 January 8, 2024.となっていますので既に終了しています。
ということは、この提案に関するボールは現在EPA側にあります。
そして正式な官報は出ていないというのが今の状態だと管理人は認識しています。
ですが、提案してきたのはEPA側ですので普通はこのまま通ると考えられます(絶対ではありません)。
ということなので、正式な官報がでるのを待っているというステータスだと思います。
それ以上の情報を管理人は知りません。
コメント/ご返信ありがとうございます。
当方も「正式な官報がでるのを待っているというステータス」との認識でしたがパブコメ期間が終わってもなんら情報が更新される様子がなく、 2024年10月が迫る状況下で社内からの質問に答えられず困っておりました。当方の認識が誤っていないことが裏付けられました。
ご回答内容、大変助かりました。
ありがとうございました。
NBA4987様、お役に立ったようで良かったです。
でも、こういう個社の質問は、コメント欄ではなくお問い合わせを使用していただく方が良いと思います。
管理人様
Web全体を理解しておらずご迷惑をおかけいたしました。
「お問い合わせ」使用の件、承知いたしました。
引き続きよろしくおねがいいたします。