REACH 制限物質(その58):Entry20 

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今回のREACH 制限物質(その58)はOrganostannic compounds (有機スズ化合物)です。

このEntry20は、Organostannic compounds (有機スズ化合物)とだけ書かれており、物質展開はなされていません。

Entry20 の基本情報

まずEntry20 Organostannic compounds (有機スズ化合物)の基本情報を見ていきましょう、と言っても物質展開されていません。

では、有機スズ化合物とはどんな物質なのでしょうか?

有機スズ化合物は、4価のスズに少なくとも一つ有機基(Rと略します)以上結合している化合物です。従って、スズとは少なくとも一つ炭素と結合しています。

RSnX3、R2SnX2、R3SnX、R4Snと一置換有機スズ化合物から四置換有機スズ化合物まで存在します。Xは適当な有機ではない適当な置換基になります。

有名な化合物としては、TBTOと呼ばれる酸化トリブチルスズでしょう。過去には、船底塗料や漁網防汚剤、農業用殺菌剤として使用されましたが、現在では第一種特定化学物質に指定されているため、使用されることはありません。

三置換有機スズ化合物としては酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズなど沢山の種類があります。二置換有機スズ化合物も有機スズマレイン酸塩など沢山の種類があります。

Entry20 Organostannic compounds(有機スズ化合物)の危険性は何か

Organostannic compounds(有機スズ化合物)の危険性は、化合物によって差があります。TBTOは、ほぼ使用禁止ですが、二置換有機スズ化合物は今でも普通に使用されています。

あまりにも差がありすぎるので、制限条項での記載で考えることにします。

Entry20 Organostannic compounds(有機スズ化合物)はどこに使われているのか

ECHAのSubstance Infocardには、Organostannic compoundsとしての情報はほとんどありません。個々の化合物の情報はあるとは思うのですが、さすがにそこまで調べる気になりません。

日本のサイトを調べてみると、例えば、ジオクチルスズジラウレート(CAS No. 3648-18-8)は、NITEのCHRIPでは、塩ビ用安定剤,シリコーン用触媒、職場のあんぜんサイトのSDSでは塩化ビニル樹脂用安定剤、滑剤、ウレタン硬化触媒との表記があります。

制限条件

Entry20 Organostannic compoundsの制限条件は、以下の通りです。

  1. 物質または混合物が、フリーアソシエーションペイントの殺生物剤として作用する場合、上市、または使用してはならな い。
  2. 物質または混合物が、以下の微生物、植物または動物による汚染を防止する殺生物剤として作用する場合、物質または混合物として上市、または使用されてはならない。
    (a) 海洋、沿岸、河口、内陸の水路及び湖沼での使用を目的とした、長さに関係なくすべての船舶
    (b) 魚介類の養殖に使用されるかご、浮き輪、網、その他の器具または装置
    (c) 全体または一部が水没している器具または装置
  3. 物質または混合物が工業用水処理に使用されることを意図している場合、物質または混合物として上市、または使用されてはならない。
  4. 三置換有機スズ化合物
    (a) トリブチルスズ(TBT)化合物やトリフェニルスズ(TPT)化合物のような三置換有機スズ化合物は、2010 年 7 月 1 日以降、成形品またはその一部で、スズの 0.1 重量%相当を超える濃度で使用してはならない。
    (b) (a)に適合しない成形品は、2010年7月1日以降、その日以前に既に欧州共同体内で使用されて いたものを除き、上市してはならない。
  5. ジブチルスズ(DBT)化合物
    (a) ジブチルスズ(DBT)化合物は、混合物または成形品またはその一部中の濃度がスズ重量で 0.1% 相当より大きいものは、一般消費者に供給するための混合物および成形品に2012 年 1 月 1 日以降使用し てはならない。
    (b) (a)に適合しない成形品及び混合物は、その日以前に既に共同体内で使用されていた成形品を除き、2012年1月1日以降上市されてはならない。
    (c) 特例として一般消費者に供給するための以下の成形品及び混合物には、2015年1月1日まで (a) 及び (b) 項を適用しないものとする。
    ー1 成分および 2 成分室温硬化型シーラント(RTV-1 および RTV-2 シーラント)および接着剤
    ー成形品に塗布するDBT化合物を触媒として含有する塗料およびコーティング剤
    ー軟質ポリ塩化ビニル(PVC)プロファイル(単独または硬質PVCとの共押出しに関わらず)
    ー屋外用途の場合、安定剤として DBT 化合物を含む PVC でコーティングされた布地
    ー屋外用雨水管、雨どい、継手、および屋根やファサードのカバー材
    (d) 適用除外として、(a)および(b)は、規則(EC) No 1935/2004 で規制される材料および成形品には適用されないものとする。
  6. ジオクチルスズ(DOT)化合物
    (a) ジオクチルスズ(DOT)化合物は、2012年1月1日以降、一般消費者に供給または使用され る以下の物品において、物品またはその一部中の濃度がスズの 0.1 重量%相当より大きい場合、使用してはならな い。
    ー皮膚に接触することを意図した繊維製品
    ー手袋
    ー皮膚と接触することを意図した履物または履物の一部
    ー壁や床を覆うもの
    ー育児用品
    ー女性用衛生用品
    ーおむつ
    ー2液室温加硫モールディングキット(RTV-2 モールディングキット)
    (b) (a)に適合しない成形品は、2012年1月1日以降、その日以前に既に共同体内で使用されていた成形品を除き、上市してはならない。

以上のように、三置換有機スズ化合物には厳しい制限条件が付けられています。これは、これらの物質の危険性が高いからです。

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