サプライチェーンの位置と化学物質情報伝達(その1)

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今回は、まず最初にサプライチェーンの位置と作っているものなど非常に基本的な部分を見ていきましょう。

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前回の復習

前回のサプライチェーンの位置と化学物質情報伝達(その0)で大枠は書きましたが少し詳しく見ていきましょう。

以下は、前回示したサプライチェーンの模式図です。自分の作っているものが入ってなーいとか言わないでくださいね。あくまで例示ですし、前回も書きましたが商社などは入っていません。

この図は、川上企業である原材料メーカーや川下企業である最終製品製造メーカーの数は、相対的に少なく、実際のモノづくりにおいては川中企業である調剤(混合物)や付帯加工、部品、組み立てなどを自社製品として製造しているメーカーの数が多いということを示しています。日本の工業製品では、垂直型(つまり原材料近くから製品までを作る会社はすでにほとんどなく、必ずサプライチェーンを通して物が作られます。

今回の件もそうなのですが、化学物質管理の話では、食品や化粧品、くすりなど直接体に取り込まれるようなものは考えていません。ですが、ものづくり自体がサプライチェーンを通して行われていることに何ら変わりはありません。

川上企業は原材料メーカー

通常、化学物質の情報伝達を考える際に川上企業と呼ばれている会社は原材料メーカーです。さらに遡ると鉱業や農業、林業、漁業などになるわけですが、あまりそこまでは考えないと思います。

原材料メーカーは、鉄や銅などの金属、無機物、有機物、樹脂などの製造が思い浮かびますが、これらのものを作るのは、その多くが装置産業で、かつ非常に規模が大きなものも多いです。実際に石油化学コンビナートや製鉄所などはそれらをサポートするための企業も多く、広大な敷地がある印象です。

もちろん少量でも足りる素材はあるわけで本当は千差万別のはずです。

更に最近は機能性素材など付加価値の高い材料もありますが、基本はいわゆるプラントと呼ばれるような場所で作られます。

管理人の勝手なイメージですが、これらのメーカーの人は自社の素材や材料に関してそれを化学物質としてみた時の知識は、非常に高いです。まあ、そういうものを作っているので当たり前かもしれませんが。

川下企業は最終製品を作っているメーカー

一番川下の企業は、最終製品を作っているメーカーになります。BtoBであれBtoCであれ、実際にそれ以上は作られるのではなく使用される状態の製品ですね。

わかりやすいので一般消費者向けの製品でいえば、例えば、自動車、スマホ、ボールペン、ハンドバックなど普段我々が使うものを作っているメーカーは川下企業になります。

企業の規模はそれぞれの市場規模によるとは思いますが、比較的大手企業も多い気がします。もちろんニッチな市場を相手にしている企業は、川下企業であっても大企業ではなく中小企業も沢山あると思います。

これらの企業の人々は、自社の製品を製造する際に、今まではその材料の物理的特性や電気特性、色、風合いなど目的とする機能に合った材料を選択するということはしていたと思います。つまり、細かい化学物質の情報などは考えずに部品・部材として使用するものを選んでいたはずです。

川中企業は非常に多くのプロセスと製品がある

川上企業と川下企業の中間にある川中企業は、実にたくさんのプロセスや製品を持っています。本当は、ひとくくりにしてはいけない気がします。

あまりに多すぎるので、思いつくまま書きますがまだまだほかにも沢山あります。自分の作っているものがなかったからって刺さないでね(^^;。

川中でも大企業は存在します。特に装置を使用しないと製造できないようなものを作っている会社です。

多分そのもっとも典型的な例が半導体でしょう。半導体の歴史は集積化の歴史といってもいいかもしれません。世代が変わるたびに製造装置だけでなく下手すれば建物設備さえ変えなければならないのでとても大変です。

それ以外にも、汎用的な電気部品を製造している会社は大手の企業が多いと思います。

また、川中企業とはいっても、会社がサプライチェーンの川上寄りなのか川下寄りなのかによって作るものやプロセスが変わってきます。

川上寄りだと、例えばですが、インクや接着剤、フィルム材、などのように色々な種類はあるにしても、いわゆる混合物や単一素材を重ね合わせて作るなどような製品があると思います。

一方、川下寄りだと、アッセンブリと呼ばれるユニット部品を組み立てたり、基板の上に部品を載せて回路として組んだり、PCなどでいえば、ユニットで買うようなものもそうかもしれません。

その他にも、色々な処理が存在します。

塗装、メッキ、モールディングetcと数え上げたらきりがありません。そして会社の数でいえば中小企業が圧倒的に多いのもこの川中メーカーです。

これらの会社の特徴として、自分の会社のプロセスは非常に詳しい特徴があります。上で書いた製品でいえばインクで必要な色を出すにはどうすればいいのかとか、どうやって歩留まり良くユニット部品を組み立てるのかとか、そういうことになります。

川中企業では、大企業は別にして、より川上に近い企業では化学物質の知識はより豊富で、川下に行くほど製品特性を出すための知識が要求されます。

商社やOEM・ODMメーカーという存在

実際のサプライチェーンは、上の模式図に書いたように単純なものではありません。例えば、自分が必要な部品や材料をいちいち調べたり、調達したりするのは大変です。特に海外からのものの調達は困難が伴います。このようなもののトレーディングを行う企業として商社が存在します。商社の役割として事業投資もありますがここでは、サプライチェーンを仲介する役割としての商社にフォーカスを当てます。

もう一つ、OEM・ODMメーカーの存在があります。こちらは、相手先ブランドの製品の製造やデザインを受けける会社になります。

これらの会社の場合、総合大手商社でもなければ、自分が扱う商品の化学物質の情報をどこまで把握しているかは、会社によってかなり幅があると思われます。

個々の企業によって状況は千差万別

今回の川上、川中、川下の状況に関する記述は、あくまでも今まで管理人が経験してきた中でのものです。実際は、個々の企業によって事情がありその化学物質に関する把握や情報伝達、さらに言えば規制に関する対応方法(管理の仕掛けといってもよい)は様々だと思います。

うちはきちんとやってるよ!😠プンプンというところもあるかもしれませんし、言われてみたらヤッベーなというところもあるかもしれません。

次回以降は今まで管理人が遭遇したり聞いたりしたことが中心かも

実際、今回書いたようなボヤっとしたことは基礎的な考え方としていいかもしれませんが、具体性に欠けるかもしれません。

次回以降は、管理人が遭遇したり聞いたり、質問されたりしたことを、あまり生々しくは書けないのですが、多少は具体的に書いていこうと思います。

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