chemSHERPA改めCMPコンソーシアムになったHPですが、いやいや急にCMPと言われましてもという方々も多いと思います。
ケミカルマテリアルJapanの際も、複数の方に質問を受けました。いや、管理人もわからないんですと答えるしかありませんでした。
そんな中、2025/12/10にHPに「CMP(Chemical & Circular Management Platform)説明会(録画公開)のご案内(追加募集)」が出ましたので、管理人も早速視聴してみました。配信は、12月23日(火)17:00(録画配信)までですので、それまでに見ておきましょう。
ー初めての方にもわかりやすく説明しますーという副題も付いています。
以下、感想や疑問点なども書きますが、第一印象は、
「やっぱり良く解らない」です(^^;。
管理人はITには全く疎いので判らないのかもしれませんが、今まで化学物質の情報伝達に関わっていた人がITに詳しい人ばかりとは思えませんので、管理人のように思う人も多いと思います。
さて、この説明会の資料はダウンロードできますので、以下は資料はある前提で記載いたします。
CMPは何でなぜ必要か?
この説明会の構成は、以下のようになっているのですが、実質的に意味のある部分は、1-6と8のみです。
1.CMPって何?
2.CMPが必要な背景
3.CMPで何が良くなる?
4.CMPにどう変わっていくのか
5.自社から始める
6.加入要請により始める
7.実際に体感してみる
8.よくある質問
9.まとめ
10.アンケートのお願い
この中で1と2が、CMPは何でなぜ必要か?説明されている部分になります。
CMPって何?
この中の1.CMPって何?の部分には、
- 化学物質情報を化学品から川下セットメーカーまで情報伝達するシステム
- chemSHERPAのようにファイルを作ってメールで送る必要がありません。
と書いてあります。
ここで戸惑う人も出てきてしまいそうな表現ですね。多分、データ作成支援ツールで行うような入力作業は省力化できますということが言いたいのかな。自社製品の何らかのデータを作る必要があることに変わりはないと思われます。
次のページ(資料ではP.4)に全体のイメージ図があります。
CMPはデータが流通する道路のようなものなので、データが作られていれば開示要求に対してすぐに回答が返ってくるということにはなると思います。
CMP上に業界共通物質リストがあるのですが、ここはどうなるのか管理人的には??です。chemSHERPAのカバー範囲部分だけなら電気電子業界と自動車業界だけなら何とかなりそうですが、それ以外はどうなるんだろう?
CMPが必要な背景
この部分は、ITに依存したデータスペース戦略のページ以外は、化学物質の情報伝達をやってきた方は見ればわかる内容になっています。
SCIPの話や欧州のESPR(エコデザイン規則)、GFCの話のなどが書かれていますが、これからの方向性を認識できている人にとっては、当ブログでも過去に少し解説していますし、理解している内容のはずです。
データスペース戦略は、欧米でも取り組みが行われているとありますが、このページと説明だけでは素人には何が何だかわかりません(少なくとも管理人は判りませんでした)。
なので、少しでも理解できるようになるための参考URLを載せておきます。
伊藤忠商事
次世代モビリティにおけるブロックチェーン技術の国際標準化コンソーシアム「MOBI(モビ)」への加盟について
PR TIMES
トレードログがMOBI主導の世界初・Web3グローバルバッテリーパスポート(GBP)におけるMVP開発の第一ステージに参加
MONOist
加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(1)
これは、10回の連載になっているので読めば何となくデータスペース戦略について理解できそうです(最も管理人は読んでません(^^;)。
CMP before after
目次項目の3と4では、CMPを使う前と後の違いとどのように移行されていくかが示されています。
CMPで何が良くなる?
ここには、CMPだけ使えば情報伝達できるようになると書いてあります。
確かに、chemSHERPAにおいてはメール伝達だったり、サーバーへのアップロードだったり個社対応しなければなりませんし、それ以外に個社様式の調査も存在します。
それが、CMPを使うことでどのセクター(業界)からの依頼かわかり、個社様式も削減されると書かれています。
また、以下のような項目もメリットしてあげられています。
- 一度入力したら、それが伝達される(サプライチェーン上で二重入力しない)
- 再調査なく、物質追加が確実に、早く伝わる
- 規制変更時も自律的に情報が流れる
- 必要な情報を安心・安全に伝える
- 業界共通で管理ができる
- 将来必要となる情報にも対応できる
- 資源循環にも備える
しかしながら現時点での大きなメリットは、管理人は1番目と4番目くらいかなと思っています。特に下の二つに関しては、現時点では重要性はあまりないでしょう。
2番目と3番目もすごいメリットと考えられるかもしれませんが、ここは、物質やルール変更が伝えられても、実際には入れてくれるなり変更するなりの操作が行われないと始まらないと考えられます。
CMPにどう変わっていくのか
ここには、chemSHERPAからCMPへの移行の際は、しばらくは並行運用されると書かれています。
また自動車セクターのIMDSは並行運用されます。自動車業界からIMDSのPFが無くなることは考えにくいです。
そして、先行ユーザーから勧誘によってサプライチェーンをつなぐ方式が取られると書かれています。
CMPを始めるにはどうしたらいいのか?
この部分は、目次の5-7である
- 自社から始める
- 加入要請により始める
- 実際に体感してみる
に書かれています。
自社から始めるのは、最初はCMPコンソーシアムの一部の先行企業だけになるでしょう。会社数は当然ながら管理人はわかりません。
それと並行して、加入要請が行われるかもしれません。加入要請された会社は、それから検討なので実際の導入は時間的にはだいぶ先の話かもしれません。
皆さんが、CMPがどんなものかを実際に知るのは、実際に体感してみるのが一番だと思います。CMPの開発導入スケジュールによれば、CMPコンソーシアムの企業による内部テスト2-3月に予定されていて、2026年度(2026年4月)には大規模実証として一般ユーザーによるお試し期間が5カ月設けられているようです。
こういうものは、実際に触ってみるのが一番なので、これには参加したほうが良いでしょう。
今のところ疑問だらけではある
この説明会には、最後によくあるご質問が書かれているのですが、実際にはここが最重要かもしれないですね。
管理人も説明を聞いても疑問だらけではありました。ですが、その中で最重要と思われるものは、よくあるご質問に書かれていました。
- 海外普及や海外原材料メーカーとのやり取りの問題
- 費用負担 CMPの利用料金、更にはアプリ、APIの利用料金
- chemSHERPAの使用期限
もっと細かい点では、沢山の疑問があります。
例えば、サプライチェーンをつなぐと言っても、実際のデータは具体的にどうつながるのかさっぱりわからない、CMPでは業界共通物質リストで調査が行われるが、それでなくならない調査要求は存在する(個々の物質、不使用証明書など)のではないか、要申告物質が追加された際、入っているとデータを書き換えてくれるメーカーは良いとして、書き換えてくれなかったらどうなるんだろう、また、ないという申告はするんだろうか、等々上げたらきりがありません。
色々疑問はあるのですが、管理人は最大のネックは費用だと考えています。
CMPの利用料金は、中小企業には無料という案もあるようですが、いわゆるアプリとAPIは、無料ではありませんし、維持費がかかります。更には、社内のシステムの変更をする必要があるかもしれません。
今、そこに金をかけるのかという問題は、自分が経営者だったら結構微妙です。もっとやることがあると考えそうです。
更に、現在でもこのブログのアクセス数が高い記事は、shaiとかshciという拡張子のファイルを開くにはどうするの?chemSHERPA超入門(その1)とかchemSHERPA(ケムシェルパ)で化学物質情報くれと言われたらなわけです。電機電子や自動車業界ではもうサプライチェーン管理ができているのかもしれませんが、それ以外で電気を使う機器を扱っている業界ではまだまだなんだろうと推測しています。
電機電子や自動車業界も100%かと言えば結構怪しい気もします。
大規模実証に参加してから決めて遅くないと思う
CMPは今のところ詳細がわからないともいえるので、一般の企業の方は来年度に行われる大規模実証に参加してから決めて遅くないと管理人は思います。不具合なんかも明らかになるかもしれませんし。
実際のところ、CMPが必要な背景はその通りだと思いますので、どの程度のスピードで移行していくかを見極めることが重要でしょう。管理人としては、chemSHERPAの普及速度を考えると長期的に考えても良いと思います。何せ金がかかるし。

コメント
別業界なのに少しだけ自動車関連の客先に出荷している場合は、
少量なのに金額負担を求められ更に物質情報も出さねばならない。
唯々デメリットしかないのですが、そんな未来が来てしまうのでしょうか。
パンチ様、コメントありがとうございます。管理人です。
いやその辺りもまだどうなるのか、管理人も良く解らないのです。
ただ、今でも自動車関連の客先に出す場合、IMDSではないのでしょうか?それとも、それは客先がやってくれる?
IMDSへ直接記入せずに記入情報を客先へ回答する対応です。
たまたまシンプルな構成のものが対象なので事なきを得ていますが、
例えば2・3種類の樹脂で構成される製品の場合には含有率そのものが
ノウハウのため、対応に苦慮すると考えています。
パンチ様、返信ありがとうございます。管理人です。そういう対応をしている会社も多いと考えます。
CMPに対してどうするかは、これからゆっくりでいいと思います。と言っても数年でしょうけど。