2022年1月度 chemSHERPA普及度調査結果が公開されました

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2022年3月24日にchemSHERPA HPに2022年1月度 chemSHERPA普及度調査結果が公開されました。

管理人も早速DLして、内容を見てみたので感想を書いていきたいと思います。

この普及度調査は、毎年行われていて当ブログでもそれについて過去に3回ほど記事にしています。

今回は、主に2021年6月度の調査結果と比べてみようと思います。実際、今回の調査結果においても2021年6月度の調査結果との比較がされています。詳しくは、調査結果をご覧ください。

chemSHERPAデータ作成支援ツールの年間DLは約5万名

この2022年1月度 chemSHERPA普及度調査結果は、多分オリジナルはPPTで作ったであろう物をpdf化してあります。ページ数は32頁と結構なボリュームです。

アンケート調査を送ったのは過去1年間にDLしたことのある人約5万名(2021年6月度もほぼ同数)だそうです。同じ会社の人が何人もDLする場合も多いので一概には言えませんが、少なくとも会社として1万社程度は一度はDLしたことがあるのかもしれません。

アンケートの有効回答数は、3400程度(2021年6月度は3645件)だそうですから回収率約6.8%です。これが多いのか少ないのかは管理人には判断が付きかねます。まあ、こんなもんかな。

回答において、JAMP会員でない企業からの回答が85%、従業員数が300人以下の企業が7割、川中企業の割合が6割という比率は、前回の調査と全くと言っていいほど変わりません。

前回の調査結果から変化した部分

今回は、主に2021年6月度の調査結果と比べてみようと思います。

川上・川中企業が依頼されている様式(現状)について言えば、chemSHERPA、不使用証明書、独自様式、IMDSの順に割合が低くなっています。

この順番や使用率も前回調査とほとんど変わらない結果となっています。わずかにIMDSの割合が増えているといったところです。

川中・川下企業が依頼している様式(現状)に関しても、chemSHERPA、⾃社または顧客の不使⽤証明書、⾃社または顧客の独⾃様式の順であり、これも前回調査と変わりません。

また、川上・川中企業が依頼されている様式(現状)においても川中・川下企業が依頼している様式(現状)においても、不使用証明書、独自様式の割合が前回調査に比べ少ない割合ながら増えている傾向にあります。

次に前回もあった、

川中・川下企業chemSHERPA/IMDS以外が残る理由(⾃動⾞互換となった場合)の質問についても、

①顧客からの要求が残る
②取引先にとって難しい
③chemSHERPA海外取引先が対応してくれない

と前回と同じ内容になっています。

こうしてみると前回の調査結果と大きく変わったことはほとんどないと言っていい状態になっています。アンケートの配布先数も変化ありませんし、これは安定期に入ってきているとも取れます。
また、逆に普及が止まってしまっていると見ることもできます(こんな面倒な事やってられるか!
(ノ`□´)ノ⌒┻━┻)。

実際には、情報伝達がchemSHERPAを使ってもメリットが無いところに入ると普及はおぼつかないので、ある平衡状態に近づいているのかも知れません。

今回新たに調査されている項目について

前回までは無く、今回新たに追加されている調査項目があります。

V1データの活⽤状況、SCIP情報の活⽤状況、製品名・部品名の半⾓英数化への対応です。

V1データの活⽤状況は、全く使っていない、ほぼ使っていないで90%を超えておりV2にシフトしています。V1を使っている理由は、ほぼ顧客要求だそうなので、V1を未だに要求しているメーカーがある問うことになります。さっさとシステム変えろや!(調査される側と管理人の声)

SCIP情報の活用状況は、かなり、たまに使っている割合が40%にちょっと欠けるくらいなので、その程度しか必要ないのか、まだSCIPの登録要求が無いのかよくわからないですね。

製品名・部品名の半⾓英数化への対応は、既に対応、期日までに対応で約6割しかなく、対応予定なしが4割にも上っています。
いや、そんなこと言ったって、新しいツールは英数半角しか入らなくなるんですよ。反対したからってどうにもならないし、国際標準に合わせるところは合わせましょうよ。

V3への機能強化要望について

今回は、V3への機能強化要望についての調査も行われています。実際、V3への開発がもうすぐ始まろうとしているのでしょう。

V3で実現してほしい機能については、要求の高い順に

  1. Web画⾯でのビューア機能(shai、shciファイルのままツールを使わず内容が参照できる)
  2. CIデータをAIの材質情報に読み込む機能
  3. chemSHERPAデータ作成⽀援ツールのWebサービス化
  4. IMDS、JAPIAシート互換のための全成分情報の追加

となっていて、50%以上の回答者が実現してほしいのは、Web画⾯でのビューア機能だけで、IMDS、JAPIAシート互換のための全成分情報の追加はほぼ1/3の回答者が実現してほしい機能です。

一方、V3で実現不要な機能の調査もあり、

  1. IMDS、JAPIAシート互換のための全成分情報の追加
  2. chemSHERPAデータ作成⽀援ツールのWebサービス化
  3. ツールと物質リストの分離(物質変更のみの場合、ツールダウンロードを不要とする)

の順になっており、IMDS、JAPIAシート互換のための全成分情報の追加は33%の回答で不要とされています。ツールと物質リストの分離(物質変更のみの場合、ツールダウンロードを不要とする)を不要としている回答の割合は26%程度です。

⾃動⾞互換についてやツールWeb化については反対意⾒もあるようです。管理人は理由を知る由もありませんが。

管理人は、Web画⾯でのビューア機能は、V3の機能というよりは単独のビューア開発になるはずなので、開発して売ればいいのにと思ってしまいます。

それとCIデータをAIの材質情報に読み込む機能は、ある領域の人は、劇的に負担が減るので是非やってほしいと思います。少なくともサプライチェーンをつなげるんだったらぜひ必要だと思います。

これに関連してCIのデータを上流の方で、電子データは改ざんされるからpdfもしくは紙で出すところがあると聞いたことがありますが、どんなデータだって改ざんはやろうと思えばやれちゃいますから管理人はそんな時代に逆流するようなことはやめたほうがいいと思います。

そんなことより、アノニマスのようなサイバー攻撃への対応のほうがよほど大切です。

chemSHERPAは普及してきてはいるが、この調査はToolをDLした人が母集団であることをお忘れなく

今回は、chemSHERPA普及度調査結果を見てきました。大きな傾向は前回調査と変わっていません。ということは、ある意味安定期に入っていると言えるかもしれません。

ですが、この調査はToolをDLした人が母集団になっていることに注意しましょう。

この記事を書いている日から過去1年間分のデータにおいては、当ブログのHomeを除いた記事のアクセス数の上位5記事の順番は、

  1. TSCAの第6条関係が騒がしい?
  2. chemSHERPAとは何ですか?
  3. shaiという拡張子が付いたファイルが開けない:chemSHERPA Tool
  4. そもそもchemSHERPAって何ですか?:
  5. REACH認可候補物質への追加4物質(第26次SVHC)が2022/1/17に公表されました

であり、未だにchemSHERPAが何かわからず調べる方が多数いるということを示しています。ページ別訪問数でいうと2位のchemSHERPAとは何ですか?で年間8400、4位のそもそもchemSHERPAって何ですか?:で6500ほどです。

コメント

  1. しょう より:

    管理人さま
    こんにちは。なんかうれしくなって、コメントします。

    この記事の通り、chemSHERPA って何?
    という川上メーカーも今だあります。

    私どもは川中に該当する関係上やはり川上へ調査お願いするのですが、
    AIが難しいならば材料メーカーのCIでもいいですよ。
    って結構条件を緩和しているつもりですが、

    「材料メーカーが電気電子品ではないので対応できない」
    と言っているので、データ出せません
    という回答もちらほらあります。

    その回答は樹脂メーカーさまが多いですね。
    もしかしたら依頼内容伝達がうまくいっていないのかもしれません。
    私たちのような川中を何社もはさむと、依頼内容が
    メーカーに届くまでにややこしい内容に変換されているのかも?

    CIからAIに変換されるデータを作成しないといけないファーストアーティクルを
    製造している川中が、どこまでchemSHERPA を理解しているか?
    にもよるかもしれません。

    私ども組付け作業のみの製造業は、現在このようなことでも困っています。

    • OFFICE KS より:

      しょう様、コメントありがとうございます。管理人です。
      「材料メーカーが電気電子品ではないので対応できない」と言っているので、データ出せません
      この回答は、それなりにあると思うのですが、それは、おっしゃる通り材料メーカーへきちんと主旨が伝わっていないからだと思います。

      理解してもらうための工夫は必要だと思います。

  2. まな より:

    こんにちは。いつも楽しく拝読させていただいています。
    私は製品含有化学物質担当になって2年です。
    これといった引継ぎもなく、右往左往で勉強するなか、こちらのサイトに出会い、それ以来頼りにさせてもらっています。

    私も川中企業(従業員100名ほど)でサプライヤー様にchemSHERPAデータの提出をお願いしておりますが、やはりご提出いただけない場合があります。
    サプライヤー様に踏み込んでお話を伺うと、「chemSHERPAといわれてもよく分からない」とのご返事。。。
    意を決して、サプライヤー様対象のchemSHERPA勉強会を開催することにしました。
    私ごときが説明できるのか不安もありますが、がんばりたいと思います。

    その際には、こちらのサイト「化学物質管理の話」をお役立ちサイトとして紹介させていただきたいです。
    これからもわかりやすいお話期待しています!

    • OFFICE KS より:

      まな様、コメント、実際の現場のご報告誠にありがとうございます。管理人です。

      担当になって2年ですか、ご苦労様です。また、当ブログを頼っていただきありがとうございます。
      サプライヤー様対象のchemSHERPA勉強会、それはいいことだと思います。自分でも理解が深まりますしね。
      ただ、質問は来ると思いますので対応する準備をお忘れなく。

      「化学物質管理の話」をお役立ちサイトとして紹介:是非やってください!(切実)、当サイトはリンクフリーですので。
      そして勉強会の時は、更にそのサプライチェーンの方に当ブログを紹介しても問題ないということをお伝えください(これ重要です、情報伝達はつながらないと意味がないので)。

      一番いいのは、管理人を講師として呼んでいただけることなんですけど、お金かかりますからね(^^;。
      他の会社の方も、管理人、chemSHERPAのセミナーは可能です。有料ですがお声をかけていただけると嬉しいです。

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