製品化学物質管理における経験や事例(その3)

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皆さま、こんにちは、管理人です。

製品化学物質管理における経験や事例シリーズの第3回目です。

このシリーズは、2002年1月(もしくは、2001年11月or12月)から製品化学物質管理に関わってきた管理人が経験したことや事例を書いていくものです。

さて、今回のお話はPOPs条約への対応です。

PFOSへの対応に巻き込まれる

2000年代前半からフッ素系に関してはいろいろな問題が指摘され、特にPFOSは、POPs条約において制限される可能性が浮上してきました。

当時、電気電子4団体(JEITA、JEMA、JBMIA、CIAJ)はこの問題に対応するためにPFOS規制に対応するad hocの会議体を開いていました。主に半導体部品を作っている部会と環境担当のメンバーから構成されていました。

その主査は、電気電子4団体の環境のある会議体の議長が務めていました。この議長職は1年ごとに持ち回りです。

その職が、2008年に管理人に回ってきました。別にこのad hocの会議体を必ず議長が継がなければならない規定はないので、慣れている人にやってもらったらといったのですが、その人は確か別の場所に異動してしまうので無理という話でした(この辺記憶が曖昧)。

ということで、管理人にこのad hocの主査が回ってきました。

管理人は、PFOSって何?という状態だったので、メンバーの人からいろいろ教えてもらいながら、何もわからずやっていました。

しかしながら、その時期にはPOPs条約では、既に規制がかかるのはほぼ確定しており、いかにしてエッセンシャルユース(特別に使用できる例外規定)を勝ち取るか、他に使用されていて無くなると困る用途はないかの調査が進められていました。

前年の2007年には経済産業省からPFOSに関する調査が行われているのですが、現在に比べると調査が遅い気がします。

PFOS規制に関する実際の規制やロビーイングの流れは、JEMAIのメルマガのまとめサイトのPFAS昔話に詳しく書かれています。

サプライチェーンが繋がらない

電気電子メーカーは、当然PFOSについて含有の確認を調達先に調査をお願いしました。

しかしながら、なかなか情報は集まりませんでした。

というのも、PFOSがその機能を発揮する含有量は、0.1wt%以下であることも多いために情報としてサプライチェーンの中下流まで流れてこなかったのです。

ad hocでも下流側からの調査の困難性が認識されたので、当時日本で唯一取り扱っていた上流メーカーに調査の協力のお願いに行きました。
しかしながら、上流メーカーの方も間に商社が入ったりするため一次の取引先はわかってもそれ以上はわからないということでした。
これは、考えてみれば当たり前のことです。なんの義務も当時はなかったわけですから。

ということで、この時管理人は、微量含有の化学物質については、何らかの義務でもかからない限りわからないのだ、そしてそのサプライチェーン上の調査は非常に困難なことなのだ、ということを認識しました。

ただ、この経験を経てフッ素系有機化合物の問題点、規制化の方向性、調査の必要性などを認識しました。
今ではPFOA、PFHxSなどフッ素系有機化合物の規制に関する話は、対応はかなり早くなっている気がします。

以前の記事も参考にしてください。

POPRC4とPOPs条約第4回締約国会議(COP4)

2008年に行われたPOPRC4に管理人は、日本のチームメンバーと一緒にスイスまで行って参加しました(条約、法規いっちょかみ(その1)POPs条約、参照)。

そして、2008年度が終わりを迎えました。管理人は、ad hoc会議体の主査は当然誰かに代わってもらうつもりでした。「次の環境のある会議体の議長にやってもらえば?」と提案しました。
「だって今まで結局そうやってきたんだし」、と言ったらad hocのメンバーに拒否されました。もう1年主査をやってくれと言われてしまったのです。

2009年の5月にはPOPs条約第4回締約国会議(COP4)がある、また新しい人に最初から説明して理解してもらうより、1年間やってきて気心の知れている管理人のほうがいい、と言われてしまい結局もう1年やることになってしまいました。

COP4への対応は、鳥インフルエンザの影響でスイスに行くことができず、GWに昼夜逆転のような状態で、日本代表の方のサポートをPCの前で行うという悲惨な対応になってしまいました。

とはいえ、このPFOSのad hocに参加したことにより、環境系の国際条約の実際のロビーイングやどのように内容が決まるのかなどの理解が非常に深まりました。

ad hocのメンバーともたびたび飲食などに行きましたし、経済産業のお役人の真摯な姿も見ることができ、高圧的な人ばかりじゃないんだなあと思った次第です。

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製品化学物質管理
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コメント

  1. 毎日お仕事 より:

    ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)の含有調査を依頼されております。発信元は1社らしいのですが、その会社様は6社程に実装の委託をされているようでそちらからも依頼がきています。
    何の為の調査かお伺いしたのですが『いずれ規制が掛かるだろうから、今のうちに用途・含有率等を把握しておきたい』とのことでした。
    弊社は抵抗器メーカーで自社では把握できないので1月中旬ごろから、川上のメーカーへ調査を開始したのですが、直ぐに返ってくるメーカーもあれば、状況をお伺いしたところ時間が掛かっていますと返事があるメーカーもあります。
    直ぐに返ってきたメーカーは、本当に原材料メーカーに問い合わせしたのだろうか?と回答内容の精度に疑問を感じます。
    『微量含有の化学物質については、何らかの義務でもかからない限りわからないし、回答もしたくない』のが現状なのかと思いました。
    PFOA、PFHxSは、REACH SVHCにもなっていましたし、こちらでも含有量はある程度
    把握していたのですが。
    大元の客先には、情報が集まらないんでと説明しているのですが、実装メーカーは『なぜ回答が得られないのか? ほかのメーカーからは80%くらい回答が返ってきている』と言われ、大変苦戦しているおります。馬鹿正直に調査しようとするのが間違っているのでしょうか。
    ちなみに、ほかの大手のエンドユーザーへもPFASの規制について何か情報をもっていませんか?と伺ったのですが、まだ対応を開始していないところばかりでした。

    • OFFICE KS より:

      毎日お仕事様、ご質問、コメントありがとうございます。管理人です。
      PFASの調査依頼ですか?それはまた難しい調査がすでに始まっているんですね。
      管理人は、フッ素系化合物の合成方法を正確には知らないので、何とも言い難いのですが、過去の経験上、微量の添加の場合(フッ素系化合物は0.1%以下でも効果を発揮す場合がある)、調査は困難を極めます。
      それは、PFOSやPFOAの事例や、PFHxSにおける現在の調査状況を見れば明らかです。
      何せ、PFOA関連物質に関する化審法の措置に関しては、3/2にようやくパブコメにかけられたぐらいです。

      ということで、管理人の意見としては(あくまで意見ですので参考程度です)、正直に依頼先に実情を話すということしかないと思います。
      80%返ってきているということを言われたら、「すごいですねー、弊社はそれほどデータが集まってないんですよ。」と笑ってごまかす(ダメ?)
      これ以上のお話が必要なら、コンサルとして受けます(^^;。

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