製品化学物質管理における経験や事例(その13)

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さて、製品化学物質管理における経験や事例シリーズの第13回目です。

このシリーズは、2002年1月(もしくは、2001年11月or12月)から製品化学物質管理に関わってきた管理人が経験したことや事例を書いていくものです。

今回は、また規制物質の混入事例いわゆる事故事例について解説したいと思いますが、製品化学物質管理における経験や事例のこのシリーズ、前回お知らせしたように、更新が止まります。

管理人が記事になりうるものがまとまった場合しか更新されません。しかも、それはそうそうないだろうと思います。なので、一旦最終回ですかね。

こんなのないの?とかこんなことが聞きたいというリクエストがあればお願いします。書けることがあれば記事化します。

今回は、RoHS指令対応初期のネジのお話です。

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六価クロムの確認と測定

ネジはRoHS指令対応前は、いわゆるクロメート処理はほどんどが六価のクロメート処理が使用されていました。

これは、六価のクロム酸を主成分とする処理液で、亜鉛メッキが施された材料やアルミニウムなどに対して処理することにより、無機の水酸化クロム化合物を表面に形成させる化成処理のことです。

耐食性も高く、プロセス的にも安定していたため広く使用されていました。というか、当時はクロメート処理と言えばこれでしたね。

このプロセスは形成した被膜中に六価クロムが残ることになります。

RoHS指令で制限された物質の中で六価クロムは、他の金属であるCd,Pb,Hgとは異なり、その存在形態(六価であること)によって規制がかかるという変わったものです。

従って、XRFやICP-AESのような金属元素そのものの区別しかできない測定手法は役に立ちません。

RoHS規制の物質に対する測定手法を開発しているIEC62321シリーズの中で、六価クロムの測定方法は、以下に規定されています。
IEC 62321-7-1:2015 電気電子製品中の特定物質の測定 -7-1:六価クロム – 比色法による金属の無色および有色腐食保護皮膜中の六価クロム (Cr(VI)) の存在
IEC 62321-7-2:2017 電気技術製品中の特定物質の定量 -7-2:六価クロム – ポリマーおよび電子機器中の六価クロム(Cr(VI))の比色法 による定量

どちらの方法も、抽出によって試料中の六価クロムを取り出し、ジフェニルカルバジド吸光光度法という六価クロムと選択的に錯体を作る化合物の色の濃さで六価クロムの量を測る方法です。

RoHS規制の初期の段階ではこれらの正式な測定法が確立されていない状況もあったので、だいぶ混乱が生じました。

プロセス管理の問題だけでなく知識がないことによる誤解も散見された

当然のことながら、規制を回避するためにクロメート処理を行っていた会社は、新たに六価クロムを含まない三価クロメート処理にシフトすることになっていきます。

三価クロメート処理過程でも、プロセスを間違ってしまうと三価が六価に変化したり、条件をうまくコントロールしないと耐食性の強い膜ができないなど、当時の方々は、苦労してRoHS規制を回避するプロセスを開発していったのです。

クロメート処理は、色合いだけでは六価なのか三価なのかよくわかりません(プロの人はわかるのかもしれないけれど)。

従って、どのようなクロメート処理なら六価にならないのかなどが当時は課題になっていたのです。

また、特にRoHS規制の初期の頃は、六価クロムのみが規制されているにも関わらず、クロムが入っているとNGみたいな話までありました(それじゃ、SUSが使えない)。

いつものネジと色が違う!

ネジの例では、実際に起こった話として、ある事業所のラインでものを組み立てていた工員のかたが、「今日のネジは、いつものネジと色が違います。」ということを報告してくれたことがありました。

それを追跡してみたら、発注ミスで、六価クロムを使用したネジがラインに投入されているのだということがわかり、事なきを得た例があります。

このように、現場の作業者の方の気づきや違和感は非常に大事で、そのおかげで未然に事故が防げたことも何度もありました。

このような意見具申があった時、生産や作業が停止するために嫌がる方も中にはいるかもしれません。でも、このような違和感は、常々現場で作業している人にしかわからない気付きなので、品質や化学物質管理においてはとても重要です。

いったん終了です

冒頭にも書きましたが、製品化学物質管理における経験や事例のこのシリーズは、いったん終了になります。

読者の方に少しでも役に立つ例があったなら幸いです。

また、こういう話が聞きたいというリクエストは随時募集中です。

コメント

  1. ひとりおやかた より:

    管理人様

    ひとりおやかたです。
    六価クロムの測定方法についての記事で、パックテストなるキットを使用していたことを思い出しました。
    現在はスマホのアプリで、測定結果を数値化出来るようになっています。
    クロムめっきについてこのよう測定を行う事は、今やほぼ無いですね。
    何か、懐かしくなりコメントしてしまいました。

    • OFFICE KS より:

      ひとりおやかた様、コメントありがとうございます。管理人です。
      最近コメントが無くて、寂しいなあと思っていたので、本当にありがとうございます。管理人は、うさぎか!!

      パックテスト懐かしいですね。抽出液を試薬が入ったポリエチレンチューブで吸うんですよね。
      今は、スマホアプリがあるなんて管理人知りませんでした。進歩してますね。
      クロメート処理も技術が進歩して、今はほとんど問題にならなくなりましたね。

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