RoHS指令における規制物質見直し(Pack15)に関する最終報告

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RoHS指令における規制物質見直し(Pack15)に関するOko-Instituteの最終報告書は、既に2021年3月になされています。

今まで当ブログでは、記事化していなかったので書いておきます。

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RoHS指令における規制物質見直し(Pack15)とは何か?

RoHS指令においては除外要求があった場合、その技術的な評価が行われます。その主な実行主体は、ドイツのOko-Institute(Oは実際にはOウムラウトです)になっています。

技術的評価はいくつかまとめて行われるのが普通なのでPackと呼ばれます。

Pack15は、

Study to support the review of the list of restricted substances and to assess a new exemption request under RoHS 2 (Pack 15)

日本語では
制限物質リストの見直しと、RoHS 2における新たな適用除外要求の評価を支援するための調査(パック15)
となります。

ですので、このPack15の一部として制限物質リストの見直しが行われています。

規制物質見直し(Pack15)の内容

Pack15の最終報告書は、全部で698頁にも及ぶ膨大なものなので全部読む気にはとてもなりません。

従って、今回はExecutive summary(要旨)の内容から更に必要な部分を解説します。

今回の制限物質リストの見直しの業務は

PART1が、物質のレビューであり以下の3つのTaskからなっています。

  • Task1:制限の可能性のある物質を特定し、評価するための既存の方法論の更新
  • Task2:将来的な制限の可能性を考慮した物質の評価
  • Task3:EEE に使用される物質の定量的使用データの決定

新たな適用除外要求の評価については、今回の記事では取り扱いません。

この中で、一般製造業において最も関心があるのは、Task2の物質の評価結果だと思います。

とは言え、残りの二つのTaskについても軽く見ておきましょう。

Task1 規制の可能性がある物質を特定し評価するための既存の方法論の更新

Task1に関しては、Austrian Umweltbundesamt (AUBA)が2014年に発表した、RoHS指令で将来制限される可能性のある物質の特定、優先順位付け、評価のための方法論が更新された、となっていてその内容が書かれています。

詳細は原文を見ていただきたいのですが

  • EEEにおける物質の使用が、環境中への制御不能または拡散放出を引き起こす可能性がある場合(第6条(1)(b))、制限も正当化される可能性
  • 廃棄物枠組指令との関係
  • REACH規則とRoHS指令の関係についての詳細
  • 物質インベントリの更新と物質アセスメントのための情報収集のために指定された様々な情報源について
  • データ排出量とモニタリングデータ結果に関する情報源への言及が、暴露に関する評価方法のステップに追加
  • インベントリに含まれる物質の事前優先順位付けの方法
  • 等々

実際には12項目の改定部分が書かれています。

Task2 RoHS規制の可能性を視野に入れた7物質の評価結果

今回の調査で要求された7つの物質は、本研究のTask1で更新された物質評価の方法論に従って評価されています。

では、各物質の評価結果を見ていきましょう。基本はRoHS2のANNEX2にこれらの物質加えることを推奨するか、しないかで書かれています。

  • Beryllium and its compounds(ベリリウムおよびその化合物):推奨しない。ただし電気モーターのブラシのような研磨性のあるEEE部品に含まれるベリリウム軸受合金の選択的な制限は検討されるべきである。
  • Cobalt dichloride, cobalt sulphate, cobalt dinitrate, cobalt carbonate and cobalt di(acetate)(塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト):
    推奨しない。
  • Diantimony trioxide (ATO, flame retardant)(三酸化二アンチモン(ATO、難燃剤)):推奨しない。追加勧告として、ATOを相乗剤として含むハロゲン系化合物からなる機能性難燃剤システムの複合評価を提案する。
  • Indium phosphide (InP)(インジウムリン):推奨しない。
  • Medium chain chlorinated paraffins (MCCPs) – Alkanes, 14-17, chloro(中鎖塩素化パラフィン(MCCP) – アルカン、14-17、クロロ):推奨する
  • Nickel sulphate and nickel sulfamate(硫酸ニッケルおよびスルファミン酸ニッケル):推奨しない。
  • Tetrabromobisphenol A (TBBP-A, flame retardant)(テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A、難燃剤)):推奨する

ということで、今回のPack15で新たにRoHS2に制限する物質として推奨されたのは、

中鎖塩素化パラフィン、とテトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)ということになります。

まだ推奨されてだけで規制されているわけではありません。しかしながら、規制化に向けての動きは進行していると考えてよいでしょう。

Task3 RoHS 2指令の制限物質リスト(附属書Ⅱ)に含める物質の特定と優先順位付け(旧:電気電子機器に使用される物質の使用量データの決定)

Task3の表題は、最初に書かれている見直しの業務としてのTaskとは異なっているのですが、旧:電気電子機器に使用される物質の使用量データの決定となっているように、これを物質の特定と優先順位付けに変更した報告になっています。

ここでは、最初にTask1で規制の可能性がある物質を特定し評価の改定、Task3で電気電子機器に使用される物質の使用量データの決定になっていたのだけれど、両者は密接に関連しているので物質の特定と優先順位付けとなったと書かれています。

その後には、どの様なプロセスで優先順位付けが行われた書かれています。

事前の優先順位付け

最初のインベントリとして900以上の物質が含まれたスプレッドシートが存在し、それには

  • 識別情報(CAS番号、EC番号、物質名)
  • 様々な指令および規制(CLP、REACH、RoHS、POPs 規制など)の下でどう扱われているか
  • 有害特性(CMR、PBT/vPvB、内分泌かく乱特性、など)
  • EEE における使用量

これらの物質対してマニュアルに基づいて10の優先順位にグループ分けされています。

最後にう優先物質リストがどのように作られたかが書かれています。

優先物質リスト

上記の優先順位付け済み物質リストの優先順位グループⅠに記載されている44物質について、追加情報を収集をしています。
情報が入手可能な場合、データは、物質の一般的およびEEEにおける使用(用途)、物質の一般的およびEEEにおける使用量、に関する情報を含むスプレッドシート形式のリストにまとめられた。
このリストの物質は、結果をより明確にするため、さらに5つのクラスターに分類された。

まとめ

RoHS指令における規制物質見直し(Pack15)に関する最終報告について記載しました。

ただし、Task1とTask3に関しては大幅に省略しているとともに、かなり意訳しています。正式には原文を参照してください。間違いがないとは言えません。

Task2のRoHS規制の可能性を視野に入れた7物質の評価結果については、製造業の方は心にとめておいた方が良いと思います。

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