2025年4月7日に環境省のHPに「PFASハンドブックを掲載しました」と言う案内が出ました。
今回は、この内容について見ていきましょう。
目的はリスクコミュニケーション
この文書のはじめにに部分には、以下のような文言があります。
地域行政でのさらなるリスクコミュニケーション促進のため、この『PFAS
に関するハンドブック』を作成しました。
更には、
地域住民向けの説明会やセミナー等、様々な活動において活用いただければ幸甚に存じます。
と言うことも書かれていますので、この文書は完全に地方自治体の行政向けの文書であることがわかります。
つまり、環境省としてはこれをまとめたので、地方行政で対応してねと言うことになります。
自分たちは規制の方をやるからと言うことなのかな。
内容構成
このハンドブックの目次は以下のようになっています。
第1章 PFAS(PFOS・PFOA 等)の基礎知識
1.1 PFASとは …… 4
1.2 PFOS・PFOAとは …… 5
1.3 ストックホルム条約(POPs条約)とは …… 6
1.4 日本国内での規制(化審法) …… 7
第2章 環境及び身の回りのPFOS・PFOA等
2.1 環境・身の回りのPFOS・PFOA等の調査 …… 10
2.2 環境中のPFOS・PFOA等(1)存在状況の経年変化 …… 11
2.3 環境中のPFOS・PFOA等(2)公共用水域・地下水 …… 12
2.4 水・食品中のPFOS・PFOA等(1)水道水 …… 13
2.5 水・食品中のPFOS・PFOA等(2)ミネラルウォーター類 …… 14
2.6 水・食品中のPFOS・PFOA等(3)食品 …… 15
2.7 PFOS・PFOA等を含む製品(1)フッ素加工品 …… 16
2.8 PFOS・PFOA等を含む製品(2)消火設備 …… 17
第3章 人の健康への影響(リスク評価)
3.1 PFASに関する健康影響評価(リスク評価) …… 20
3.2 リスク評価のステップ …… 21
3.3 評価の対象とした健康影響 …… 22
3.4 個別の健康影響に関する評価(生殖・発生毒性) …… 23
3.5 個別の健康影響に関する評価(発がん性) …… 24
3.6 国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類 …… 25
3.7 個別の健康影響に関する評価(その他) …… 26
3.8 耐容一日摂取量(TDI) …… 27
3.9 ばく露評価(1)摂取経路 …… 28
3.10 ばく露評価(2)日本における食事等からの摂取量 …… 29
3.11 ばく露評価(3)血中濃度 …… 30
3.12 今後の課題 …… 31
第4章 PFASへの対応
4.1 PFAS対策の基本的方向性 …… 34
4.2 PFASに関する今後の対応の方向性 …… 35
4.3 PFOS等含有泡消火薬剤の在庫量の把握と代替促進 …… 36
4.4 PFOS等含有泡消火薬剤の適正な管理 …… 37
4.5 事故等に伴うPFOS等の排出時の対応 …… 38
4.6 水道水中のPFOS・PFOA等への対応 …… 39
4.7 水道水におけるPFOS・PFOAの暫定目標値 …… 40
4.8 諸外国等における飲料水基準等 …… 41
4.9 水道水のPFOS・PFOAの暫定目標値超過時の対応 …… 42
4.10 リスクコミュニケーションの実施 …… 43
4.11 統計データを用いた地方公共団体による健康状態の把握 …… 44
4.12 水環境中のPFOS・PFOA等への対応 …… 45
4.13 水環境中のPFOS・PFOAの指針値超過時の対応 …… 46
4.14 国内外のPFAS対策技術 …… 47
4.15 PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する対応 …… 48
4.16 PFOS・PFOAを含有する使用済み活性炭の適切な管理 …… 49
4.17 土壌中のPFASについて …… 50
4.18 農作物への移行に関する知見の収集 …… 51
4.19 PFOS・PFOA・PFHxS以外のPFASへの対応 …… 52
と言うことで、非常に多くの項目が書かれており、それが各項目ほぼ1頁にまとめられているという構成になっています。
良い点と悪い点
ある意味PFASのことを網羅的に知るには結構いいハンドブックになっているなと言う印象です。ただし、各項目1頁の弊害もあって、肝心なことがどうなのかはよくわからないことも多々あります。
第1章などは良いのですが、第2章以降は、だから何するのの答えはほぼ書かれていません。
例えば、2.8 PFOS・PFOA等を含む製品(2)消火設備 では、環境省でPFOS・PFOAを含む泡消火剤の量を調査しているとありますが、だからどうするんだは書かれていません。
そこに4.3参照と書かれているので、4.3 PFOS等含有泡消火薬剤の在庫量の把握と代替促進を見てみると、4年ごとに調査して前回より45%減少したとなっています。でもまだ12tものPFOSが泡消火設備にあるとなっています。
そして結論が、引き続き、関係省庁・関係団体と協力しつつ、PFOS等含有泡消火薬剤の代替に向けた取り組みを進めるとなっています。
いやちょっと何言ってるかわからない。
第3章 人の健康への影響(リスク評価)については、もっともらしく書かれていますが、これは日本でのやり方をトレースしています。
これは、各国でリスク評価のやり方や結論が異なっているということが一言も書かれていないのは問題だろうとは思います。
実際の内容は実際のハンドブックをご覧ください。
このハンドブックには、付録も付いているのですがそれは今まで発行されたPFASに関する文書やQ&Aをまとめたものです。
地方行政向けではあるが会社でも一般市民でもPFASを網羅的に知ることができるハンドブック
このハンドブックは、地方行政向けにリスクコミュニケーションのために書かれているものですが、会社でも一般市民でもPFASを網羅的に知ることができるハンドブックだと思います。
PFASについてこれだけ騒がれているのですから、せっかくいいものを作ったという自負があるならもっと宣伝すべきなのではないかと思います。
コメント