エコデザイン規則(ESPR)の4回目になります。
今回は、エコデザイン要件の第5条だけで終わってしまいました(まだ第4条もやっていない)。ということで、今回は、6条からです。
今回の記事では、判りやすいように緑で書いてある部分が、規則に書かれている内容で、それ以外は解説用の文言になります(今後もエコデザイン規則の解説では使用することもあると思います)。
第6条 Performance requirements (性能要件)
第6条には、性能要件が書かれていますが、その最初には、
製品は、第4条に基づき採択された委任規則に定められた製品に関する性能要件に適合しなければならない。
と書かれているため、実際には委任された組織において性能要件が決められることになります。
そして性能要件は、 附属書Iに書かれているパラメータに基づくものとし、必要に応じて以下のいずれか又は両方を含むと書かれています。
(a)特定の製品パラメーターまたはその組み合わせに関する最小もしくは最大レベル。
(b)そのような製品パラメーターの1つまたは複数に関する性能の向上を目的とする定量的でない要件。
要は、定量的な要件も定性的な要件もと言うことですね。
そして、次の項目には以下のことが書かれています。
製品パラメーター(附属書Iの(f)項に規定されるもの)に基づく性能要件は、主に化学的安全性に関する理由により、製品中の物質の存在を制限してはならない。
附属書Iの(f)項は、物質の使用、特に懸念される物質の使用です。
しかしながら、以下のただし書きも書いてあります
ただし、性能要件の設定は、適切と判断される場合、人間健康または環境に対する重大なリスクを軽減するものとする。
そして最後に、以下のことが書かれています。
性能要件を設定する際、委員会は附属書IIに定められた手続に従うものとする。
附属書IIには、性能要件の定義に関する手続きが書かれています。
第7条 Information requirements (情報要件)
第7条には情報要件が書かれていますが、第6条と同様に、
製品は、第4条に基づき採択された委任規則に定められた製品に関する性能要件に適合しなければならない。
と書かれています。
第2項には情報要件が書かれています。
(a)最低限、第3章に定めるデジタル・プロダクト・パスポートに関する要求事項、第5項に定める懸念物質に関する要求事項が含まれる。
(b)必要に応じて、以下のことも義務付ける
(b)の中には(i)から(iv)までの項目があり、製品パラメータや製品の設置、保守、修理などやリサイクル廃棄向け情報などが書かれていますが、詳細は条文を見てください。
(c)明確で、理解しやすく、当該製品群および意図される情報の受領者の特性に合わせたものであること。
要はちゃんとわかりやすくしておいてね、と言うことでしょう。
第3項として
3. 附属書 I の(f)に定める製品パラメータに基づく情報要件は、主に健康又は環境に対する危険性に関連する理由による物質又は混合表示に関するものであってはならない。
と書かれていますが、これだけ見るとなんのこっちゃと思ってしまいます。ですが、この部分はそれに関する規制がすでにあるからだと思います。
次に第4項は飛ばして第5項です。ここには、結構面倒なことが書かれています。
5. 第 6 項の(b)に別段の定めがある場合を除き、情報要件は、当該製品のライフサイクルを通 じて、懸念物質の追跡を可能にするものでなければならない。ただし、当該製品を対象として第 4 条に 従って採択された他の委任法で規定された情報要件に従って、追跡が既に可能である場合を除 く:そして以下の物を含まなければならない
(a)製品中に存在する懸念物質の名称または数値コード(以下に示されるもの):
(i) 国際純粋応用化学連合(IUPAC)命名法による名称、またはIUPAC名称が利用できない場合の他の国際名称
(ii) 一般名、商品名、略称を含むその他の名称
(iii) 欧州共同体(EC)番号は、欧州既存商業化学物質インベントリー(EINECS)、欧州届出化学物質リスト(ELINCS)、またはNo Longer Polymer(NLP)リストに記載されている番号、または欧州化学物質庁(ECHA)が割り当てた番号(入手可能で適切な場合)
(iv) 入手可能であれば、化学物質抄録サービス(CAS)の名称と番号
(b) 製品内の懸念物質の位置
(c) 製品、その関連部品、またはスペア部品のレベルでの、懸念物質の濃度、最大濃度、または濃度範囲
(d) 製品の安全な使用に関する適切な指示
(e) 製品の分解、再使用準備、再使用、リサイクル、および使用済み状態における環境上適正な管理に関連する情報。
欧州委員会は、当該製品群に適切な場合、懸念物質に関する情報要件が適用される閾値を設定することができる。
懸念物質の追跡って今の状態でどこまでできるんでしょうね?(b) 製品内の懸念物質の位置って?面倒くさそう。
第6項には以下のことが書かれています。
6. 委員会が第4条に基づき採択された委任法令において情報要件を定める場合、委員会は、関連する場合には、次のことを行わなければならない:
(a) 第 5 項第 1 号の情報要件の適用日を定め、必要に応じて懸念物質を区別する
(b) 懸念物質または情報要素について、技術的実現可能性、懸念物質の追跡の関連性、検出・定量分析法の有無、営業秘密保護の必要性その他の正当な理由に基づき、第5項第1号に規定する情報要件からの免除を適切に正当化して提供すること; 第2条(27)(a)項の意味における懸念物質は、製品、その関連部品またはスペアパーツ中に重量比0.1%を超える濃度で存在する場合には、免除の対象としない。
(C) 適切な技術的解決策を含め、EU法に基づく既存の情報要件との整合性を確保し、管理上の負担を最小限に抑えること。
第7項、第8項は情報をいかに提供するかの要件なので省略します。第7条は、懸念物質に関わる項目が多く書かれているので注意が必要です。
第8条 Content of the delegated acts (委任行為の内容)
第8章には、第4条に従って採択された委任法において規定すべき要素が書かれているのですが、実際には製品群によって内容が異なることも考えられますし、今回は解説しません。
次回から第3章
次回から第3章のデジタル・プロダクト・パスポートなのですが、管理人が目茶苦茶不得意な分野です(^^;。
自分が勉強して書くため、多分、1記事当たりの内容がかなり薄くなり、細切れになるでしょう。わかる人にはじれったいかもしれませんが、お付き合いください。
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