ふと、PFASの件を調べている時に、REACHの制限物質はどうなってるんだろうと調べたら、当ブログでは、REACH 制限物質の記事は、昨年の5月が最後になっていました。
その後も制限物質は追加されています。そこで、今回から昨年以降新たに加わった制限物質について記事化していきます。
まず最初は、Entry79 undecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesです。
Entry79 undecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesの基本情報
undecafluorohexanoic acid (PFHxA)とその塩及び関連物質になるわけですが、このエントリーを展開しても、undecafluorohexanoic acid (PFHxA)そのものは書かれておらず、書かれているのは、Sodium undecafluorohexanoateとundecafluorohexanoic acid and its ammonium saltという変わった書き方がされています。
従って、個別の化合物としてとらえられる、Sodium undecafluorohexanoateについての情報のみを示します。
化学物質名:Sodium undecafluorohexanoate
和名:ウンデカフルオロヘキサン酸ナトリウム、パーフルオロヘキサン酸ナトリウム
別名:Undecafluorohexanoic acid sodium salt、Hexanoic acid, 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-undecafluoro-, sodium salt (1:1)
化学式:C6F11NaO2
分子量:336.04
構造式:
CAS RN : 2923-26-4
EC No.: 220-881-7
実際の制限を受けるこのundecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesの物質は、以下のように書かれています。
(a) 構造要素の一つとして、C5F11- の式を持つ直鎖状または分岐状のパーフルオロペンチル基が別の炭素原子に直接結合しているもの、または (b) C6F13- の式を持つ直鎖状または分岐状のパーフルオロヘキシル基を持つもの。
ただし、以下のものは除かれる。
(a) C6F14;(b) C6F13-C(=O)OH、C6F13-C(=O)O-X′ または C6F13-CF2-X′(ここで X′ は塩を含む任意の基を表す); (c) 非末端炭素原子のいずれか一つに酸素原子を介して直接結合したパーフルオロアルキル基 C6F13- を有するあらゆる物質。
Entry79 undecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesの危険性は何か
undecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesの危険性は、今のところ調べた限りでは、
重篤な眼の損傷
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による鼻腔、肝臓、腎臓の障害のおそれ
皮膚刺激を引き起こす
呼吸器刺激を引き起こす可能性がある
がありました。
ちなみに、undecafluorohexanoic acid (PFHxA)は、皮膚等障害化学物質等及び特別規則に基づく不浸透性の保護具等の使用義務物質になっています。
Entry79 undecafluorohexanoic acid (PFHxA), its salts and related substancesはどこに使われているのか
これらの物質の用途情報は、直接的に書いてあるものは見当たらなかったのですが、制限している項目から考えて、泡消火剤、衣服や履物の撥水加工などに用いられる可能性があると考えられているようです。
制限条件
- 2026年10月10日以降、以下の用途において、均質材料中で測定したPFHxA及びその塩類の合計が25ppb以上、またはPFHxA関連物質の合計が1,000ppb以上の濃度であるものを、市場に流通させ、または使用してはならない:
(a) 一般消費者向け衣類及び関連アクセサリーの繊維製品、皮革、毛皮及び皮革;
(b) 一般消費者向け履物;
(c) 規則(EC)No 1935/2004の適用範囲内における食品接触材料として使用される紙及び板紙;
(d) 一般消費者向け混合物
(e) 規則(EC) No 1223/2009第2条(1)項(a)に定義される化粧品。 - 2027年10月10日以降、繊維製品、皮革、毛皮及び皮革において、均質材料中において、PFHxA及びその塩類の合計が25 ppb以上、またはPFHxA関連物質の合計が1,000 ppb以上となる濃度で、市場に供給され、または使用されてはならない。ただし、第1項で言及された一般消費者向け衣類及び関連アクセサリーを除く。
- 第1項及び第2項は、以下には適用されない:
(a) 規則(EU)2016/425の付属書IのリスクカテゴリーIIIの範囲内のリスクから使用者を保護することを目的とした個人用保護具(同項(a)、(c)から(f)、(h)及び(l)に該当するもの);
(b) 規則(EU)2017/745の適用範囲内の機器;
(c) 規則(EU)2017/746の適用範囲内の機器;
(d) 建築用繊維として使用される繊維製品。 - 2026年4月10日以降、以下の用途において、PFHxA及びその塩類の合計が25 ppb以上、またはPFHxA関連物質の合計が1,000 ppb以上の濃度で、市場に流通させ、または使用してはならない:
(a) 訓練および試験用の消火泡剤および消火泡剤原液 ただし、消火システムの機能試験を除く。すべての放出が封じ込められている場合に限る;
(b) 公共消防サービス向け消火泡剤及び消火泡剤原液 ただし、欧州議会及び理事会指令2012/18/EU¹の対象施設における産業火災への対応に当該サービスが関与し、かつ当該目的のみに泡剤及び装置を使用する場合を除く。 - 2029年10月10日以降、民間航空(民間空港を含む)向け消火泡剤及び消火泡剤原液において、PFHxA及びその塩類の合計が25ppb以上、またはPFHxA関連物質の合計が1,000ppb以上となる濃度で、市場に供給または使用してはならない。
- 第1項、第2項、第4項及び第5項は、欧州議会及び理事会規則(EU)2019/10212の附属書Iで禁止されている、硫黄原子に直接結合したC6F13-のパーフルオロアルキル基を有する物質には適用されない。
- 第1項の規定にかかわらず、同項は2026年10月10日より前に市場に供給された成形品及び混合物には適用されない。
- 第2項の規定にかかわらず、同項は2027年10月10日より前に市場に供給された成形品には適用されない。
- 本項において、PFHxA関連物質とは、その分子構造に基づき、PFHxAに分解または変換される可能性があるとみなされる物質をいう。
コメント