2025年4月21日にステップ様からのコメントで、PFOA製造工場の元作業員の方から血中に高濃度のPFOAが検出されたことと間質性肺疾患の発症が見られたことの記事を紹介いただきました。
この記事は、現在リンクをたどっても存在しない状態になっています。
このニュースは一瞬問題になって報道されましたが、その後は沈静化してしまっています。
今回は、このニュースについて見ていきましょう。
ネット上にいくつかの記事は残っている
今回の発表は、現在もいくつかのサイトでは記事が残っています。会員限定記事も多いようです。
- PFASと肺疾患が関係する可能性 京大などの研究者 Yahooニュース
- PFASと肺疾患の関連指摘 京大など、ダイキン元従業員らを調査 毎日新聞
- PFAS含む製品を作っていた工場従業員 血中から高濃度検出、間質性肺疾患発症も 京大などのチーム分析 東京新聞(会員限定)
- 米指針超えるPFAS、対象者3割から検出 京大研究者ら大阪で調査 朝日新聞(有料記事)
これらの中で、管理人は朝日新聞(有料記事)は、会員ではないので全文を読んではいません。
この中で一番詳しい記事は、やはり会員限定記事である東京新聞のものです。今回はこれを基に見ていきましょう。
調査はダイキン工業の淀川製作所のあった大阪で行われている
今回の調査は、ダイキン工業の従業員、元従業員だけでなく大阪府北部の住民など約1200人に対して行われています。
この全体の結果は、米指針超えるPFAS、対象者3割から検出 京大研究者ら大阪で調査 朝日新聞(有料記事)に書かれており、PFAS血中濃度が364人から米国基準値(20ng/ml)を超えるPFASが検出されたとしています。
ダイキン工業の従業員、元従業員は、7人がこの健康調査を受けており、その血中のPFOA濃度の中央値は、約190ng/mlで住民の方の平均ng/mlより圧倒的に高い値でした。
この7人のうち、5人は100ng/mlを超えており、CTスキャンなどで検査したところ、3人で間質性肺線維症などの症状を確認したということです。
5人中3人に疾患が認められたことで、PFOAと疾患とが関連する可能性を指摘しているということになっているのだと思います。
いくつかの注意点
この記事については、いくつかの注意すべき点もあるように思います。
一つは、この間質性肺疾患の症状がみられるの3人は、非常に特殊な条件で働いているということです。3人はいずれも粉塵作業に従事していました。
間質性肺疾患はPFOAの粉塵でなくても粉塵作業の管理が悪ければ、他の物質おいても起きうる疾患だということです。つまりPFOAが原因なのかと言われると、管理人は専門家ではないので切り分けはどうするんだろうと疑問に思ってしまいます。
次に、この疾患を発症した3人は、PFOAの粉塵に暴露されていた可能があり、それが間質性肺疾患を加速させたことは否定できないかも知れません。
この件は、もちろん労働安全衛生上の問題として原因究明されなければならないと思いますが、今、その他のニュースで騒がれている、水質、特に飲料水の問題とは根本的に異なっています。
この疾患は、飲料水とは関係がありません。しかも、粉塵ばく露は普通の生活をしている方には起こりえません。
何もかも一緒にされPFASがーとひとくくりにされるのはどうかと思います。
飲料水中のPFASの問題についてはむしろ
「より厳しいPFAS基準値を」京大名誉教授が指摘 最新研究もとに 朝日新聞
に書かれている、
「信州大学の研究チームが昨年発表した、約2万5千人の妊婦を対象にした調査で、血中PFAS濃度が高いと子どもの染色体異常の発生が多い傾向がみられた。」
と言う一文のほうがよほど重要です。もちろん、まだ関連性を結論付けるようなものではありませんが、更なる研究が必要でしょう。
PFASと疾病の因果関係を示すものは現時点では国内ではほとんどない
今回のニュースを取り上げたのは、PFASと疾病の関係性の提起がほぼ初めて取り上げられていたからです。
PFASに関しては沢山のニュースが流れ、住民の不安が日々報道されています。規制化も始められようともしています。
予防原則に基づいて汚染実態を把握し、検査したり、規制化することは悪いことではないと管理人は思います。
ただ、現実の話として、今のところPFASと疾病の因果関係を示すものは現時点では国内ではほとんどないのだということは知っておくべきかもしれません。
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