SORPLAS™ってなんじゃ?

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今回は、普段このブログに書かれている化学物質管理とは毛色の異なるお話です。

管理人が元居た会社の同僚のI氏が開発したSORPLAS™についての内容です。規制とかの話ではないので気楽に読んでください。

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SORPLAS™はプラスチックの一種

最近は、プラスチックはリサイクルされにくい材料であるとか海洋汚染に代表される各種汚染の源であるとか、結構やり玉に挙げられています。

高度経済成長期などは、便利な材料とみなされていましたから変われば変わるものです。

SORPLAS™(ソープラス)は、プラスチック材料の一つで、再生材の使用率が非常に高く、かつ難燃性を持っているところに特徴があります

ベースとなる材料は、市場や工場から回収されたポリカーボネート(PC)です。

ポリカーボネート(PC)はどこに使われているかと言うと、一番わかりやすいのはCDとかDVDなどのDiskです。他には、ウォーターサーバーの水を入れている容器があります。

また珍しいところでは、ポリカーボネート(PC)のシートが液晶TVに使用されるケースもあります(光学拡散板)。

上記のような材料がSORPLAS™の原料として使用されます。

車のヘッドライトカバーなんかもポリカーボネート(PC)ですが、これはまだ使われていないようです。

難燃性の付与は特別な材料

SORPLAS™は、その難燃性を付与するために特別な材料(PSS-K)が使われています。

ポリカーボネート(PC)を難燃化するためには、通常、臭素系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤などが使用されますが、その含有量は樹脂に対して10wt%前後です。

これに対して、SORPLAS™は、難燃剤(PSS-K)の添加量が1%以下であり、ほとんど元のポリカーボネート(PC)の物性に影響を与えません。

従って、SORPLAS™は再生材99%、難燃剤+着色剤などの添加剤1%前後という組成を持つことになります。

これは、かなり画期的です。

市販の難燃PCよりも高性能

SORPLAS™は、市販の一般難燃バージンPC(リン酸エステル系難燃剤含有)よりも樹脂の物性の面で優れています。

この部分は、雑誌1)の図を引用します。

図1 樹脂物性面での比較

図1の樹脂物性面の比較を見ると、SORPLAS™は耐熱性や耐衝撃性、引張り歪みの点において大きく一般難燃バージンPCに勝っています。

これは、一般難燃バージンPCでは、難燃剤の含有量が多く本来のPCの持つ物性が引き出せないことに起因していると考えられます。

再生材を多く使っているので、製造時CO2排出量は少ない

SORPLAS™は再生材を原料にしてるため、境界条件の考え方次第ですが、通常原料を作る際に発生するCO2発生量は、非常に少なくなります。

境界条件は、再生材としてピックアップするところ以降と考えるのが普通です。

もう一点、難燃剤の絶対量も少ないため、この部分でも有利です。

再生材を原料化するプロセスや難燃剤の製造よりも、むしろ再生材を集めてくる物流のCO2発生量の方が多いくらいです。

同じ用途に使用されているバージン材との比較では、約8割ほどCO2発生量が少なくなるという試算が出ています。

再生材の種類により各種グレードに対応

再生プラスチックを使用していると聞くと、どうしてもいろんな物性のPCはできないのではないかと気になるところです。

通常樹脂の場合、その作り方や配合によって、流動性の高いものや、耐衝撃性のもの、難燃性の優れたものなど様々なグレードを取り揃えているのが普通です。

SORPLAS™の場合は原料とする元のPCの物性が異なることを利用して様々なグレードのものが作られています。PCのグレードとして、一般的なものはほぼ対応できていると言ってよいでしょう。

リサイクル特性も優れているので水平リサイクルに対応できる

以上のようにSORPLAS™はいろいろ優れた特性を持っているのですが、管理人が一番すごいなと思っているのが、そのリサイクル特性です。この部分も雑誌1)の図を引用します。

図2 SORPLAS™と難燃バージンPCのリサイクル性の比較

図2は、樹脂のリペレット(再度の溶融混練)による特性を比較した図です。通常混ぜ物をした樹脂をリペレットすると物性が変化して行ってしまうのが普通ですが、SORPLAS™は樹脂の比率が非常に高いためほとんど変化しません。

この特性は、ある部材としてSORPLAS™を使用した場合、回収ルートさえ確保できればまた同じ部材に利用する水平リサイクルがかなり楽に行えることになります。

上に述べたような完全な水平リサイクルではないかもしれませんが、SONYは、使用済みTV回収したプラスチックをSORPLAS™の原材料として使用し、再度TVの同じ部位に使用したことを発表しています。
使用済みテレビの部品を原材料とするSORPLAS™※1 を、ブラビア®の部品に再利用

水平リサイクルの定義は、「使用済みの製品を原料として使って、同じ製品を新たに作ること」なのですが、有名なのはPETボトルの例で他にはあまり聞きません。

つまりそれほど難しいのです。管理人が環境系の展示会に行った時、水平リサイクルしてますという展示があったので質問したところ、家電から得た回収プラスチックに樹脂も含め各種添加を行い、黒色のプラスチックとして家電に使用したとのことでした。

いや、それ水平リサイクルって言っていいのと聞いたら、家電から家電なので良いんだそうです(^^;。思わず突っ込んでしまいました。
いやそれカスケードだろ。

SORPLAS™の水平リサイクルもまだ実証できているわけではありませんが、期待したいところです。

SORPLAS™に興味のある方は

樹脂を使う際には、物性だけでなく、供給量とかお値段とか色々加味しなければならない他の項目があります。

SORPLAS™に興味のある方がいらっしゃいましたら下記のURLがあるようです。

お問い合わせ | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ
ソニーセミコンダクタソリューションズグループは、イメージセンサーを中心として、マイクロディスプレイ、各種LSIなど、イメージング&センシング事業を推進する企業グループです。グループ情報、製品情報、採用情報などをご覧いただけます。

*1)プラスチックの循環利用拡大に向けたリサイクルシステムと要素技術の開発動向 第5章第2節 (サイエンス&テクノロジー)

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