chemSHERPA V2R1の説明資料と動画を見て

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chemSHERPAツール V2R1説明会_録画及び資料が一般公開されましたという記事を昨年末にあげました。

一応、動画と説明資料を見た感想を書いたほうがいいかなと思ってこの記事を書くことにしました。

見た感想を一言で言うと、

まためんどくさくなるの?

です(^^;。

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V2R1はV3までのつなぎ

chemSHERPAは、そのフォーマットをIEC62474に準拠しているわけですが、この製品含有化学物質情報伝達(Material Declaration)に関して、マルチセクター(つまり電気電子業界以外も含めた産業界)対応を目指すという国際規格が作られようとしています。

しかも提案国は日本です(また、無茶しちゃったなあ)。この規格は、ISO/IECのDual Logo規格を目指しており、IEC/ISO 82474と呼ばれています。

ということは、この規格ができた暁にはその規格に準じたV3ができる予定だったはずなのですが、大体国際規格の進捗って遅れます。Dual Logo規格なんてなおさらです。

とはいえ、他の産業とのつなぎはやりたい、特に自動車業界と電気電子業界とは電子部品等で共通のものが多いのでより「つながる化学物質情報伝達」をしたいというのが、V2R1開発の経緯のようです。

V2R1で何が変わるのか?

いや、V3までのつなぎだったら変えるのは最低限にしてほしいところですが、実際にはそうでもないようです。chemSHERPAツール V2R1説明会_録画及び資料が一般公開されましたでDLした説明資料を基に要点だけ解説します。

部品の多階層表現

いままでchemSHERPAは、製品を表現するのに階層ー部品ー材質-物質という段階しかないので、BOMでのツリーが深くなっていくと、間に入った階層は中抜きされてしまうことがおきます。

つまり製品と階層の次は部品になってしまうという構造になっていました。

今回のV2R1では、これが多階層表現ができるということです。

これはどういうことかというと、Assyや部品に対してそれらがBOMでツリー展開した時に第何層目にいるのかということを示す階層番号を付加して表現することになるということです。

見た目は今までと異なるので、かなり戸惑う方も多いと思います。何せ成分情報画面の第1層として製品がプリセットされるので面食らいます。

川下への伝達のためには、今まで以上に複合化のプロセスをうまく使わないといけなくなるでしょう。

全成分情報伝達

V2R1では、全成分情報の伝達が可能になります。この全成分情報はIMDSの全物質表現が可能となっています。

内容はで説明した資料を見て欲しいのですが、材質を構成する成分情報を100%以上にしないとエラーになってしまいます。

またこの部分は、IMDSの物質表現を可能とするということで、自動車業界をかなり意識したつくりになっています。ただし、全て同じではありません。

CI(化学品)からAI(成形品)への連携

従来、chemSHERPA-CIとchemSHERPA-AIは互換性が無く、chemSHERPA-CIでもらったデータはいちいち入力し直す必要がありました。

今回のV2R1では、chemSHERPA-AIでchemSHERPA-CIのデータを引用できるようになりました。これは、管理人的には画期的な進歩だと思っています。

更には、揮発や反応などの変化についての変換時何らかの変化が起きる可能性のある物質にCI側にもフラグのようなものがついていたり、取込み側のAIにも揮発物の取り込まないようにできる機能などが付いています。

管理人的には、これは余計なお世話という気がしています。理由は別の機会に述べようと思います。

管理対象候補物質の管理基準化

これは、公表されている規制物質を管理対象物質に含めてしまうということです。つまり、規制されることがすでにわかっているが、今だ施行日には至っていないというものを、事前に調査することを目的にしているものです。

これは、本当に規制が決まっているものであれば、問題はないと考えられます。まあ、だからと言って個別調査が無くなるとも思えませんが。

ツールのオンライン更新機能

V2R1では、ツールのオンライン更新が可能になります。chemSHERPAを一度ダウンロードしておくと、次回からは今までのようにマイナーバーションアップ時でも毎回ダウンロードする必要はなく、インターネットのサーバーにアクセスすることによってツールの更新ができるようになります。

これは便利になりますね。

何がいや!って、フォーマットが2つできること!

今回のchemSHERPA V2R1においては、従来のV2のデータ形式の他に全成分を表現するためのデータ形式V2exができます。

V1からV2への変更は、本来共存するものではなくV2に移行する物だったのですが、実際の完全移行にはかなりの時間がかかりました。まあ、理由はいろいろあったと思います。

今回のchemSHERPA V2R1では二つのデータ形式が共存することになります。

更には、全成分の情報伝達形式ができることによって、成分のみでも良い企業も全成分を要求しようしてくるのではないかという不安も起きるでしょう。
この点に関しては、JAMP側は説明資料の中のV2R1についてのQ&Aにおいて

多くの電機電子の川下企業は、全成分情報を必要としないと考えられます。 この場合、従来の成分情報での調査依頼を行うことを「利用ルール」に記載 し、JAMP会員企業へ要請します。

chemSHERPA V2R1説明資料より引用

と回答しているのですが、いやJAMP会員企業にだけ要請しても意味なくね?と思うのは管理人だけでしょうか。
「利用ルール」にどれだけ強く書けるか、さらにはそういうことをやっている企業に指摘ができるほどでないと要求する企業が出てきてもおかしくないでしょう。
ですが、JAMPは民間企業の集まった協議会なので強制的なことをやるには限界があります。

管理人は、もう現場の人じゃないので影響はないといえばないわけですが、実務に携わっていると考えると、2つのデータ形式があるなんて管理が大変でやってられないんだよ!というのが本音になると思います。

きっと川中の人は、chemSHERPA-AIで結局、成分情報も遵法判断情報も持たないと対応できなかったように、今回もV2とV2exの両方に対応できるようにしておかねばならないことがおきるでしょう。

いつできるかわからないISO/IECのDual Logo規格によるV3までのつなぎとしてこの状態が続くのは、サプライチェーンの皆様にとっては、また頭の痛い問題が増えるのかもしれません。

V2R1は、現在はまだ開発中とはいえ、説明会が開かれた以上大きな仕様変更はないと思われます。

V2R1については、もう1回くらい大規模検証前に記事にするかもしれません。

今回の記事は、chemSHRERPA V2R1の第一印象の感想です。

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