ECHAは、2025年8月20日に更新版PFAS規制提案を公表しました。
今回は、その発表を見ていきます。どのように修正されているのかという細かい話は、今後時間ができた時にでも記事化できればと思っています。
欧州化学品庁(ECHA)は、EUの化学物質規制REACHに基づくパーフルオロアルキル物質(PFAS)の規制に関する更新提案を公表しました。この更新案は、2023年1月に最初の提案を提出したデンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの当局によって作成された。
このようにありますので、この更新に関しては当初この制限案をだした5カ国によって更新されたことになります。
5600ものコメントの評価を終了!?
この制限案を提出した5カ国の当局は、2023年のコメント期間に受取った5600ものコメントの評価を終了したと書かれています。
6月までは、「ECHAから6月に行われたRACとSEAC meetingsのハイライト報告がありました」の記事に書いたように、まだまだ続けるようなことが書いてあったのに、いきなりこんな更新案が出てきて、これを注視している人は管理人も含め「なんじゃ?」となったのは事実だと思います。
そして評価から得た証拠を基に、更新案が作成されています。この更新案は、背景文書と呼ばれたいるようですが、ECHAの委員会の意見の基礎になると書かれています。
ですが、一方で委員会の評価によりさらに更新される可能性があると書かれています(結局評価は続くんかい)。
初期提案では明示されなかった8分野を特定評価
5カ国の当局は、初期提案では明示されなかった8分野を特定し評価したと書かれています。
それらは、以下の通りです。
- 印刷用途
- シーリング用途
- 機械用途
- その他の医療用途、例えば製品に直接触れる一次包装や医薬品添加剤
- 軍事用途
- 爆発物
- テクニカルテキスタイル(技術的性能と機能的特性を目的として使用されるテキスタイル素材)
- 溶剤や触媒などの広範な工業用途
代替の制限オプションが採用された分野もある
加えて今まで全面禁止や特定用途への期限付き例外を伴う禁止措置だったものに、代替の制限オプションが採用された分野もあります。
これらは、リスクが管理可能な場合にPFASの製造、市場投入、使用を継続することを認める条件を伴うと書かれていますが、要は、コメントによって今までの条件が緩和される部分があるものです。
それらは以下の通りです。
- PFAS製造
- 輸送
- 電子機器・半導体
- エネルギー
- シーリング用途
- 機械用途
- テクニカルテキスタイル
評価は継続中?
欧州化学物質庁(ECHA)のリスク評価科学委員会(RAC)および社会経済分析科学委員会(SEAC)は、提案された制限措置の評価を継続中である。同庁は欧州委員会に対し、透明性・独立性・高品質を備えたRACおよびSEACの意見書を可能な限り早期に提出することを目指している。
と書かれているのですが、「えっ、評価は終了したって最初に書いてたよね」と思ったのは管理人だけ?
その下に更に、背景が書かれているのですが、2023年からの一連の動きですので省略します。
ただ、最後に、
現在、EU加盟国の独立専門家で構成されるECHAの科学委員会が本提案の評価を進めています。
と書かれています。
こちらは、提案した5つの当局以外の招集されたEU各国の専門家が、今回の改定案を評価しているということだと思います。
実際のところ、管理人には、なんでこのタイミングで改定案が出てくるのかさっぱりわかりません。
PFASの制限規則は、手続きから言えばANNEX XVIIの制限物質に他の制限物質と同じようにPFASを加えるということに過ぎないのですが、PFASの制限は現代社会において著しい影響があります。ですので、このような喧々諤々の議論がなされているわけです。
リスクと利便性の天秤をどう見るかなのですが、欧州当局は可能な限り規制をかけたいのが本音でしょう。
8月27日にPFAS規制評価のスケジュールが発表されました
この改定案の発表の1週間後の8月27日にこのPFAS規制評価に関するスケジュールが発表されました。
それによりますと、(PFAS)に関するEU全域での規制提案の科学的評価を2026年末までに完了させる方針とのことです(ええ!何がどうなってんの?)。
この日、スケジュールに関する新たな通知が出されています。詳細内容についてはこれをご覧ください。
結局、2026年末までかからないと科学的評価すら終わらないということですので、そこからの立法手続きを考えると、2027年中の規制公表がぎりぎりの線かもしれません。
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