エコデザイン規則(ESPR)の3回目になります。
今回は、エコデザイン要件の部分に入っていきます。ですが、1回では終わらないかもしれません。
第2章 エコデザイン要件(ECODESIGN REQUIREMENTS)の内容
第2章 エコデザイン要件は、4条から8条までで構成されその項目は以下のようです。
第4条 Empowerments to adopt delegated acts (委任行為の採択に関する権限付与)
第5条 Ecodesign requirements (エコデザイン要件)
第6条 Performance requirements (性能要件)
第7条 Information requirements (情報要件)
第8条 Content of the delegated acts (委任行為の内容)
第5条から第7条までは、色々な要件が書かれてるのであろうと推測できます。しかし、第4条と第8条は委任行為に関するものです。
これらは、エコデザイン規則が、個々の製品グループの具体的なエコデザイン要件が、欧州委員会が委任をした組織で決定されることを可能にする項目になっています。
第8条には委任する内容が書かれています。
これらの内容を理解するためにも、最初に各種要件を見ていった方が良いと思いますのでまずそちらから。
第5条 Ecodesign requirements (エコデザイン要件)
まず、第1項に
環境影響に対応するため、および附属書Iに規定される製品パラメーターに基づき、第4条に基づき採択された委任行為におけるエコデザイン要件は、当該製品グループに関連する製品側面(以下「製品側面」という)において、以下の製品側面を改善するものでなければならない
とあります。
要は、エコデザインと聞いてこういう部分の改善を考えるのだということが列挙されています。
(a) 耐久性
(b) 信頼性
(c) 再利用性
(d) アップグレードの可能性
(e) 修理可能性
(f) メインテナンスと改修の可能性
(g) 懸念物質の存在
(h) エネルギー使用とエネルギー効率
(i) 水使用と水効率
(j) 資源利用と資源効率
(k) リサイクル・コンテンツ
(l) 再製造の可能性
(m) リサイクルの可能性
(n) 材料回収の可能性
(o) カーボンフットプリントや環境フットプリントを含む環境影響
(p) 予測される廃棄物の発生
とまあ、16項目もございます。これ、自分の製品は水なんか使わないから(i)は関係ないやと思うかもしれません。まあ、この項目としてはそうなるかもしれませんが、(o)に環境フットプリントが書かれているために、水は全く関係ないと言い切れないところがあります。
まあ、はっきり言ってこういう項目の要件が決まるわけなので、実際には製品グループごとの要件がどう決まるかが問題でしょう。
次に第2項から第14項までエコデザイン要件に関する内容が延々と書かれています。
内容は読んでいただきたいのですが、例えば、製品が簡単に陳腐化しないように(第2項)とか、エコデザイン要求は特定の製品グループにするんだよ(第4項)とかエコデザイン要求事項には第6条に書かれている性能要件と第7条の情報要件をand/orで含める(第9項)などが書かれています。
第5条 第14項 懸念物質の特定
前回のエコデザイン規則(ESPR)について(その2)において、用語の定義の懸念物質の項目でその(d)に以下のものがありました。
(d)製品中に存在すると再利用やリサイクルに悪影響を及ぼすもの
第5条の第14項目にはこの懸念物質の特定について書かれています。
エコデザイン要件の対象となる各製品グループについて、委員会は、必要に応じて、第2条(27)項(d)号の定義に該当する物質を特定するものとする。その際、少なくとも以下の点を考慮するものとする:
(a)標準的な技術に基づくと、当該物質が再利用またはリサイクルプロセスを複雑化させ、コストを増加させ、環境への影響を拡大させ、またはエネルギーや資源の消費を増加させる場合
(b)当該物質が、製品またはそのリサイクル材料から製造された製品のリサイクル材料の技術的特性や機能性、有用性または価値を損なう場合
(c)当該物質が、リサイクル材料の美観的または嗅覚的特性に悪影響を及ぼす場合
一応、実態に即した検討は行われるのでしょうが、やはり前回書いたように上で書かれた項目で、悪影響があるねと言う理由だけで化学物質の有害性とは関係なく決めてしまえる内容になっていると思います。
今回は、第5条だけで終わってしまった
今回は、第5条を見ただけで終わってしまいました。
エコデザイン要件は、製品化学物質管理の要素は非常に少なく、むしろ設計・開発者の方に多くの負担がかかる内容です。
しかも、設計・開発者の方にとっても今まではなじみのない資源利用と資源効率とかカーボンフットプリントや環境フットプリントを含む環境影響などという新しい要素が入ってきています。
管理人は、環境の仕事をしていましたからこのあたりの用語は判っても、実際に設計者が何をするのかまでの落とし込みなどはほぼわからない状態です。
実際の製品グループに対するエコデザイン要件を見ないと概念論だけでは実際の設計・開発どうにもならないかもしれません。
と言うことで、内容の咀嚼に管理人では時間がかかりそうですので、進捗は遅いと思います。
しかも管理人、今年の暑さにめげて8月の前半(1日から15日)は、基本休みにする予定です。
この間の更新は、よほどのことがなければ、1回しかしない予定ですのでよろしくお願いします。
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