製品化学物質の情報伝達について(その4)

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法的義務はなくとも顧客から製品化学物質の情報は要求される

前回は、日本の法規制で顧客に渡す必要がある(情報を伝達しなければならない義務がある)SDSのお話を軽く書きました。しかし、これはほとんどが化学品に対してのものです。
成形品に対して、日本において何らかの法的な情報伝達義務が顧客に対してあるかと言えば、ないと管理人は認識していますが、あるという方は教えてください。

法的な義務はなくとも、顧客からは成形品に対しても情報伝達の要求が来るのは事実です。義務がないんだったら答えなくてもいいじゃないかと言われればそうですが、「そこは商売との兼ね合いです」というのが答えになります。
自分の会社の製品がほかのどの会社にも作れなくて、それを使わないとできない製品があるというならそれでもいいのでしょうが、今時そんな製品はなかなか無いでしょう。

どんな情報が成形品で要求されるのか

では、成形品ではどんな化学物質情報が要求されるのでしょう。このシリーズの最初に書いた記事の中に紹介した経済産業省の委託事業報告書のうち、 「平成26年度化学物質安全対策(製品含有化学物質における調達基準の実態調査)報告書(平成27年3月)」にいくつかの事例が載っているのですが、それによれば以下のようになっています。
まず、IMDS、JAMA/JAPIA統一データシートなど自動車業界の標準シート、JAMPやJGPSSI(この報告書の書かれた時期にはchemSHERPAは、まだほとんど使用されていない)など電気電子業界の標準フォーマット以外のものを個社独自様式と定義しています。ですので、いわゆる業界標準フォーマットとして

  • IMDS
  • JAMA/JAPIA統一データシート
  • JAMPのフォーマット JAMP-AIS、MSDS Plus
  • JGPSSI

があります。このうちJAMPのフォーマットとJGPSSIは、既にかなりchemSHERPAに移行しています。

個社独自様式(独自フォーマット)のもの

標準の様式(フォーマット)以外のものは、この調査の際にはいろいろありましたが、現在もなくなってはいません。どのようなものがあるかと言えば

  • 個社部品に対する化学物質の不使用保証などの文書(不使用証明書、不使用承諾書なども同様)
  • 化学物質の分析結果報告書
  • RoHS の適合証明書、不使用証明書(電気電子系のサプライチェーンに特有)
  • 高懸念物質(SVHC)の調査票(REACH規則のSVHC)
  • 調査依頼に対応できない内容と様式(無理難題というもの)
  • コンフリクトミネラル(紛争鉱物)に関する調査(本来製品化学物質の調査ではない)
  • 個社独自様式(Excel 等の調査票)(本当に独自フォーマットの電子ファイル)
  • その他

調査する側はとっても面倒

管理人はセミナーの講師もやっているわけですが、今でもこれらの独自フォーマットの調査は無くなっていないと聞いています。
まあ、これだけ種類があると(しかも個社で少しずつ帳票が違うんだろうし)、取引会社数が多いメーカーさんで調査する担当者は「いい加減にしてくれ」と思っても無理もないでしょう。
一方調査する側は、自社のリスクをいかに減らすかを考えているので、いろんな要求項目が出てきてしまうことになります。
上に書いた各種情報伝達の様式については、一応今後解説予定です。ただ、業界の標準シートや標準フォーマットについては解説しませんというか、chemSHERPAは延々記事にしてますのでそちらをご覧ください。

調査に関して個人的意見は書きにくい

このような調査や情報伝達について、管理人はもちろん意見はあるのですが、会社と会社間の問題ですので、ブログのような場所には書けないというのが正直なところです(まあ、そうは言っても結構過去記事の中で意見としては書いてますけどね)。
コンサルティングはしますけど製品化学物質の管理については、業務委託契約先であるJEAMI(産業環境管理協会)に問い合わせてください。それ以外のコンサルは、個人事務所で受けれますが、まあ会社のことを個人事務所に頼む奇特な会社はいないだろうな。

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