REACH 制限物質(その10+):Entry60 今回の物質はSVHCでもあります

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REACH 制限物質(その10+)は、Entry60のAcrylamideです。この物質は、SVHCでもあります。

今回の物質は、分子量が小さいですね。

REACH 制限物質(その10)が二つあったため区別するため修正(2021年3月23日)。もう今更他は変えられない(^^;。

Entry60 Acrylamideの基本情報

それではまず、Entry60 Acrylamideについての基本情報を見ていきましょう。

化学物質名:Acrylamide、アクリルアミド
化学式:C3H5NO
分子量:71.08
CAS RN:79-06-1
EC No.: 201-173-7
融点:84.5
沸点:125°C 25mmHg

分子量が小さい割には常温で固体です。

Entry60 Acrylamideの危険性(概略)

ECHAのSubstance Infocardによれば、「この物質は、この物質は飲み込むと毒性があり、遺伝的欠陥を引き起こす可能性があり、癌の原因となる可能性があり、長期または反復暴露により臓器に損傷を与える可能性があり、皮膚に接触すると有害であり、重篤な眼刺激を引き起こす可能性があり、吸い込むと有害であり、生殖能力を損なう疑いがあり、皮膚刺激を引き起こし、アレルギー性の皮膚反応を引き起こす可能性があります。」と書かれています。

これじゃ、ほぼすべての毒性があると言っているようなもんですね。

「さらに、REACH登録の中で企業がECHAに提供する分類では、この物質が不妊または胎児に悪影響を与える疑いがあることが特定されています。」とありますから、まさに危険性の宝庫です。

日本においても、劇物に指定されていますし、化審法の優先評価物質でもあります。消防法や労働安全衛生法でも規制がかかっています。

一方、アクリルアミドでネット検索するとまず多く出てくるのは、食品中に含まれるアクリルアミドの話です。農林水産省のページには、食品中のアクリルアミドに関する情報というページが存在します。ここには、アクリルアミドが生成する経緯やどの程度含まれているのかといった情報があります。

また、内閣府の食品安全衛生委員会からも2013年にファクトシートが出ています。

どこに使われているか

この物質は、EUでは年間100,000 – 1,000,000t輸入もしくは製造されています。結構大量です。消費者向け製品や成形品には使われていません。

ほかの物質を作るための中間体や原料物質としての用途が主なものです。最も有名なのは、アクリルアミドを重合してできるポリアクリルアミドとしての用途です。
NITEのCHRIPに書かれている用途では、紙力増強剤・凝集剤重合原料,繊維加工剤,接着剤性能向上加工剤,化粧品原料,アクリル系熱硬化性塗料合成原料、凝集剤・土壌改良剤・紙力増強剤・接着剤原料との記載があります。
ポリアクリルアミドとしての用途として、管理人がよく耳にしたのは工業排水の凝集剤としての用途ですね。

制限条件

Entry60 Acrylamideの制限条件は以下のようなものです。

2012年11月5日以降のグラウチング用途では、0.1重量%以上の濃度で、市場に出したり、物質や混合物の構成成分として使用してはならない。

管理人、グラウチング用途とはなんじゃと思ったのですが、「土木工事で、基礎や岩盤の割れ目やすきまにグラウト(セメントペースト・モルタル・薬液など)を注入すること。薬液注入工法。」のことのようです。間違ってたら教えてください。

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コメント

  1. さわかわ より:

    質問です。

    弊社で取り扱っている部材の安全データシートに、

    「アクリルアミド・アクリル酸塩共重合物」

    というのがあったのですが、これはSVHCのAcrylamide、アクリルアミドに該当するのでしょうか?
    化合物なので、別物なのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。

    • OFFICE KS より:

      さわかわ様(漢字で書かれていましたのでひらがなにしました)、質問ありがとうございます。
      管理人です。今日は、外出していたので返事が遅れました。

      ここで言っているアクリルアミドは、アクリルアミドという単体の物質です。記事にも書かれでいますように分子量は小さいです。
      一方、さわかわ様の入手したSDSに書かれている「アクリルアミド・アクリル酸塩共重合物」は、高分子です。重合していますので。
      もちろん、アクリルアミドはその原料の一つなのですが、化学反応をしていますので、SVHCのAcrylamide、アクリルアミドに該当はしないことになります。

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